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ホテルデルーナ 人間の業の深さをファンタジーのオブラートで包んだ素敵な作品でした💖

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ホテルデルーナ Hotel del Luna 全16話 (2019年 tvN)

このドラマの世界観、1300年を超え、魂に浄化できない幽霊の嘆きを伏線に、表舞台はファンタジックロマコメでしっかり描ききった作品です。

どうしてもCGの豪華さ、俳優陣の可愛さ、OSTの哀愁感と目や耳を奪われてしまいますが、悪縁を持つ幽霊が、消滅せずに、三途の川まで辿り着くように、そのためには霊魂の浄化、悪縁を振り払ってこの世に思いを残さないで、天国への旅立ちを支えてあげる癒しの空間であるホテル、それを支える幽霊、麻姑神という存在があるという世界観がとっても優しく感じられました。生霊と死霊の違いってすごくリアルに感じました。このホテルデルーナ は死霊しかサポートしません。

切実な思い、悪縁、執念を持つあの世に行けない幽霊・死霊を、未練を残さずに旅立ちのお手伝いをするホテル

その場所が、〜ホテルデルーナ〜

葉が芽吹き、花が咲き、そして枯れていく。生と死の時間は、また流れ出す。その繰り返しであるのに、それを拒むのは、人間の強欲、悪縁なんですよね。

どうしても「トッケビ」が思い出されましたが、このドラマの方が個人的には非常に霊についての扱われ方がわかりやすかった。
IUさんと、ヨ・ジング君のコンビにしたというのも、とっても可愛くて爽やかさを感じさせる中で、この世界を描きそのギャップが、このドラマの魅力のような気がします。

脚本は有名なホン姉妹 

「主君の太陽」の時からの構想していたというこの作品。「ホテル、幽霊」がお好きなんですね。でも「主君の太陽」は、霊がテヤンに帰依する話のロマコメでした。あの作品でジソブssiは、ロマコメに開花した感じでしたし、いい味出していました。(個人的感想です∩(>◡<*)∩)
16話でも、キム学士が、ジソに似ているというくだりがありましたが。

脚本:ホン・ジョウン ホン・ミラン 「美男ですね」「最高の愛」「主君の太陽」「花遊記」
演出:オ・チュンファン   「ドクターズ」「あなたが眠っている間に」
キム・ジョンヒョン

キャスト
  • IUイ・ジウン=チャン・マンウォル
  • ヨ・ジング=ク・チャンソン
  • イ・ドヒョン=コ・チョンミン 高句麗の若き武将、公主様の警備兵の大将
  • イ・テソン=ヨヌ  マンウォルの相棒
  • パク・ユナ=イ・ミラ 高句麗のソンファ姫・現代では、チャンソンの元カノ
  • ソ・イスク=麻姑神
  • カン・ホソク=引導使者
  • シン・ジョングン=キム・ソンビ   ホテルのバーテンダー キム学士
  • ペ・ヘソン=チェ・ソヒ  ホテルの客室長
  • ピョ・ジフンBlock.B.P.O=チ・ヒョンジュン  ホテルフロントマン
  • カン・ミナ=キム・ユナ  ホテルのインターン
  • チョ・ヒョンチョル=サンチェス  チャンソンの親友

このドラマに登場する人物は、ほとんどが幽霊、このホテルのオーナー、マンウォルと幽霊が見える人間としてホテルの支配人として仕事をする男ク・チャンソンとの物語です。

どうしてチャンソンがこのホテルに努めるようになるのか
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1988年のある日、意識不明で生死を彷徨う男の生霊が間違えてこのホテルに飛び込んで来る。マンウォルは、この男を助ける代わりに男の息子が大人になったらデルーナに引き渡すというという条件を出す。20年後、ホテルへの招待状を受け取ったハーバート大学を卒業し、エリートホテルマンになったク・チャンソンが、マンウォルの前に現れる。
初めは、マンウォルに天然キャラに振り回されるが、「あなたの仕事を通して、誰も知ることのない秘密の世界をあなたは見つけ出せるでしょう」という前の支配人の言葉に促されて勤めることになります。マンウォルに吹き替けられた息のせいで死者が見えるようになってしまい、その死霊とのお付き合いに振り回されるチャンソン。

会話劇かと思うくらいお嬢様と執事のやり取りが面白い!

マンウォルがこう言えば、チャンソンはそれに常に真摯に受けと止めるセリフの数々が、すごい。二人の気持ちが合わないと出来ませんね。二人の会話の場面でも、チャンソンの落ち着いた真面目さがジワーと流れ出てくるところがツボですね。マンウォルのヒステリックで想定外の会話にも表面は卒なく対応するチャンソン。色々な幽霊とのエピソード、どのエピソードも生きていた時のに人間の悲しみ、怨み、想いが丁寧に描かれています。その幽霊とマンウォルとチャンソンの駆け引きと会話がとにかく面白い!
ヨ・ジングさんの出演を渇望されたホン姉妹と聞きましたが、内面演技力や、マンウォルに負けない堂々とした落ち着きで彼女をしっかりと守る男が出来るとお眼鏡にかなったからでしょうね。そしてこのドラマのもう一つの魅力でもある若さの爆発力ですよね。若さ、落ち着き、あの淀みのない説得力のある声色、そして演技力のある俳優さんということはよくわかりました。

IUが着こなすマンウォルのコスプレショー
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  • 一度着た服は二度着ない。
  • 美味しくて高い食材と高級なお酒が好き。
  • 常に人から羨望の眼差しで見られていたい。
  • お金大好き。
  • でも仕事は大嫌い。
  • あと、誰にも踏み込増させない禁止区域がある。
  • すごくお似合いのファッションもありましたが、お身体が華奢すぎて、ちょっと洋服の方が目立っていたような場面もありました。

このコスプレショーは、この作品のキャラクターの明るさと可愛さを見せる演出だとは思いますが、同じように作品の明るさや動きを演出したかったのだと思います。CGの特殊効果のクオリティーの凄さは、画面からふつふつと感じますが、個人的にはちょっと色合いがきつく感じました。こういう雰囲気大好きな方にはすごいのでしょうね。
でも…..多分、こういう視聴者もいるでしょうから、しっかりと運命的なロマンスと現実のチャンソンとマンウォルのロマンスの切なさ、二人の結末への期待感を分かりやすいように描いていてなんか感心しました。というかこの設定の詳細さがなかったら、多分リタイヤしたかもしれないので。

この作品で重要な神….麻姑神シスターズと引導使者
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麻姑神は、花を摘み、来世に向かう人々に、その花を手渡し、麻姑神との別れで、魂は去り、素敵なところに行けれるようにするのが仕事だそうです。
麻姑神は、このドラマで重要な存在です。マンウォルにとっても、チャンソンにとっても。何よりもこの月のホテルを訪れる人が安らげるように一番気配りしている神かもしれません。5人の麻姑神シスターズが出現されましたが、どの方も個性的でした。ピンクの方が可愛かったですが…
ソ・イスクさんの5役です。でも姉妹に見えます。個性の違いを衣装、メイク、声、表情、演技で全て表現されています。すごいですね〜

そして三途の河へ、リムジンで送りとどける男、引導使者。

マンウォルは、月の巨木に縛られて、あの世に行くこともできないし、この世で生きることもできない。彼女がどこに逃げようとしても怨霊の巨木が立ち、そこが月のホテルになる。悪鬼になろうとしたマンウォルを麻姑神が、あの世に旅立つのを見届けるに為に監禁している状態でした。

そんなヒステリックで強欲でわがままなマンウォルでしたが、その悲しい過去の秘密を知ったチャンソンは、「ここがあなたの牢獄だろうが、僕が一緒にいます」と思いを告白しますが、それは愛の告白ですよ。

チャンソンの夢で語られるマンウォルの悲しい過去…
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彼女は、高句麗だった時代に、遊牧民の孤児として育った子でした。彼女とともに育ったヨヌは、やがて彼女の右腕となる。彼女は盗賊になり、金品を強奪している時に、高句麗の武将のチョンミヨンの反撃に会う。その後、どういうわけか同じ村の出身とか、砂地獄からマンウォルを助け出したことから、意識するようになるんですね。しかし、そん二人の笑顔を交わす時間はあっという間に過ぎます。所詮、女盗賊と公主様の警備兵です。先が見えます。チャンミョンは、公主のソンファ姫から好意を寄せられますが、それにマンウォルは激しく嫉妬します。チャンミョンの本当の気持ちも知らずに….ここから悲劇が起きます。また盗みをして捉えられたマンウォルやヨヌを助ける為に、チャンミョンは策を練るのですが、上手くいかずに、ヨヌは絞首刑に。マンウォルだけはどうにか解放されました。その後、チャンミョンは、ソンファ姫と婚礼をあげる事になります。その婚礼の晩に、マンウォルは、ソンファ姫を殺し、チャンミョンも殺し、その周りの人々も怒りのままに殺してしまいました。その激しい嫉妬心、恨みを抱いたまま、1300年の間この月の巨木に縛られているのでした。

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チャンソンの元カノ、ミラは、ソンファ姫の転生した姿でした。それ故に、マンウォルは彼女を激しく憎みますが、チャンソンがそれを死守しましたね。これを愛と呼ぶのか? そこまで憎きソンファ姫ですが、転生していて前世の記憶のない人間を陥れるのは、やはり悪霊です。血迷った悪霊マンウォルをかっこよく描き切った、憎まれずに描ききったホン姉妹の筆力なんでしょうね。

このマンウォルとチャンミョンの悲劇のロマンスは、チャンソンの夢の中に現れ、語られます。回を追うごとに、そのロマンスの真実が見えてきます。チャンミョンの本心、ミヌの気持ちは、チャンソンからマンウォルに伝わるのですが、彼女自身は、自分が嫉妬心で、全ての人を殺してしまったことには気がついていたのでしょう。その悪縁を認めれば、巨木から解放されたのでしょうが。
ヨヌは、転生して刑事になり、現世ではイ・ミラ(ソンファ姫)と結ばれる。

チャンミョン役の方は、個人的には、ちょっと軽い感じがしましたが、ヨ・ジング君が落ち着きですからね。彼の発声法、声の響き、目力にかなう若手俳優いるのかな?
チャンミョンは、マンウォルを守る素晴らしい男だったのに、彼女のエゴが、目を心を曇らせてしまい、悲劇的な結果を招いてしまった。この世でもあの世でも問題児なマンウォルです。

チャンソンとマンウォルのロマンスの結末は
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チャンソンの夢のおかげで、マンウォルはチャンミョンやミヌの気持ちがわかり、少しは解放されたようです。このカップルの終息は、なんとなく暗示されていましたよね。彼女は幽霊なんですから。チャンソンとマンウォルは前世で出会っていたのですね。それも麻姑神と引導使者が引き合わせていたのです。ここまでの設定の必要性があっったのかな〜。  彼女が百合の花を麻姑神から手渡され、リムジンは乗らないで、三途の川を笑顔で49日間かかって歩く姿が印象的でした。きっと記憶がリセットされて転生するのでしょう….という終わりかたです。

傲慢で、愚かで、大袈裟で、可愛くて美しい恋人……マンウォル

ホテルの従業員のエピソード
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シン・ジョングン=キム・ソンビ   ホテルのバーテンダー 500年の悪縁
ペ・ヘソン=チェ・ソヒ  ホテルの客室長 200年の悪縁
ピョ・ジフンBlock.B.P.O=チ・ヒョンジュン  ホテルフロントマン 70年の悪縁

それぞれの悪縁は、弱い人間が抱えていた恨み、妬み、復讐心でしたね。3人は、自分たちの弱さが、その悪縁を振り払えないとわかっているのですが、マンウォルの側で、いつかその悪縁を振り払える時期を待っているという感じです。マンウォルとは正反対です。
みんなマンウォルが心配で、このホテルに住み着いていたような気がします。彼女が悪縁を振り払う準備ができるように麻姑神と共に、見守っていたのだと。
ピョ・ジフンBlock.B.P.Oさん、ボーイフレンドにも出て入られましたが、個人的にはどうもこのお顔苦手です。

チャンソンの親友サンチェス、忘れていました。彼はこの物語で、唯一前世がわからない人でした。人間しか見えない男として、恋人を亡くした男として……

そしてエンディングの格好良さ〜  カメオ出演の方々の豪華さ
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”ホテルブルームーンへようこそ”
新しい月のホテルの経営者の登場   キム・スヒョンssiカメオ出演です。もちろん、リアタイしているわけではないので、最後で登場されるのはわかっていましたが、やっぱりすごい存在感ですね。一瞬の登場で、この存在感…..

エンディングに相応しい、輝きのある最終章でした。

イ・ジュンギ=神父
オ・ジホ=チャンソンの父親
キム・ジュニョン=コメディアン
イ・スンジェ=漢方医
イ・シオン=宇宙飛行士
ソルリ
ソ・ウンス
ナム・ダルヒ
オ・テギョン
イ・イギョン

月のホテル@ホラーとファンタジーの世界

CGでの幻想的に浮かび上がるホテルの怪しい雰囲気、一瞬にして素敵なビーチへ、幽霊が悪神の形相になってうごめく世界へと……1300年の悪霊を引きずっている女・自分勝手で恐ろしいくらいの傲慢だけれど月のようにミステリアスで美しい女主人マンウォルに最後まで目が離せなかった。彼女は、チャンソンとの出会いで確実に悪縁から一歩一歩前に進みだし、最後は笑顔で旅立って行きましたね。

朝鮮時代@ファンタジーとロマンスの世界

貧しい遊牧民の娘と武将とのロマンスを…….1300年前の出来事と、現在のチャンソンとのロマンスの流れが、わかりやすかった。裏切りの愛だと勝手に思い込んだ女の怨霊が、このドラマの始まりですからね。マンウォルが死者たちの遺品を荷車に乗せて彷徨っている時に麻姑神が、彼女を月のホテルの主人とさせたのです。その月の宿の最初のお客様は、チャンミョンで、になってずっと彼女を見守っていたのです。壮大な愛の世界ですね。この朝鮮時代のシーンは丁寧に描かれていてこの時代のチャンミョンの愛と現実のチャンソンの愛とがオーバーラップして、生まれ変わりかと思った時もありました。

チャンソンのいる世界@愚かな人間たちの世界

この世界に今いる人間が、ああだこうだと過去のこと、未来のことを語っているのですよね。可哀想だとか、こうしろとか。
「幽霊にとって重要な記憶は、自分が死ぬ瞬間の記憶よ」というマンウォルの言葉があるのですが、なんか身に染みます。死ぬ瞬間には、嫌な気持ちではなく楽しい気持ちで死にたいですよね。自分の人生は楽しかった。感謝したいという気持ちで逝きたいです。
マンウォルがチャンソンに「見送る時は、寂しがらないで。私を大事にし続けて、それから私を見送って」と。この言葉も心に残ります。

見終わっての感想

 

3話くらいまで見てリタイヤしそうになったのですが、6話以降からはぐんぐんと引き込まれました。メインストーリーではない、1300年前のロマンスが見え隠れした頃から、急に視聴力アップしました。チャンソンの夢で語られるというのもすごく斬新でした。
チャンソンが幽霊が見えるようになってしまうということも、きっと「人間でない者(宇宙人・天使・人魚・鬼・漫画の主人公・ロボット)」とのロマンスドラマを見すぎて感覚が麻痺してしまったのか、それを素直に楽しめる状況になったのかよくわかりませんが、素直に面白かったです。
当然、最後の結末を人間界のハッピーエンドに求めるのはおかしな話で、このラストはとても素敵でした。
「パリの恋人」の結末もそうですが、あれは脚本家がそういうエンディングしたかっただけと思っています。なんかあっと言わせて終わりたかったのでしょう。エンディングはそれぞれが視聴者の思うように感じられるようにアバウトにした感じの終わり方が好きですね。

そういう意味では、このドラマのラスト、曖昧でいい。15話、16話は穏やかでした。マンウォルの怒りが収まるとこうなるのか(笑)それにしてもヨ・ジング君は、それこそ巨木のような存在感です。彼の後ろ姿、22歳には見えません!(◎_◎;)落ち着いていますよね〜〜。彼がいるから、マンウォルが破茶滅茶でも、なんか安心感を与え、それがこの作品の重厚さに繋がっていたように思います。「トッケビ」は、コン・ユさんの俳優力で重厚さを出していたように思いますが、この作品は、明るさと爆発的エネルギー力は、IUさんが、そして単純なホラーファンタジーロマコメにしない為にヨ・ジング君のどっしり感が必要だったし、それが成功したドラマだと思います。
でもここまでの壮大なドラマの最後がこれかってね……….そう麻姑神の言葉に繋がります。

最後に麻姑神の言葉を………

彼女の死を確認したときに、悲しみと失望を感じるのは自然なことだ。花が枯れたとき、また、新しく咲く花を夢見るように、生きている人間は、出会い、そして再び愛するようになるんだよ。それが、傲慢で、愚かで、大袈裟な、美しい恋人同士のお前たち二人が選んだ答えであることを願っているよ。

唖然としながら、感嘆しながら、少し胸キュンしながらの時間をありがたく思ったドラマでした。

豪華なOSTで一番好きだったのは……

Punch Done For Me

Gummy Remember

月光の曲が流れましたが、マンウォルの怨念を感じさせる為のクラシックが、なんか心に一番響きました。奥深い長い歴史を感じさせたので….

 

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