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チョコレート  お料理が繋ぐ人間の愛の物語!

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チョコレート・忘れかけてた幸せの味 Chocolate 全16話 (2019年 JTBC)Netflix

イ・ヒョンミン監督とイ・ギョンヒ脚本家がタッグを組んだドラマ、期待していました。

「ごめん愛してる」大好きな忘れられないドラマの一つですし、ユン・ゲサンssi、ハ・ジォンさんの久しぶりのドラマですからどんなドラマかと気になりますよね。

ロケ地は、ギリシャのナフプリオ、モネンバシアという、「太陽の末裔」を思い出すような素晴らしい景観のロケーション。
広がりと明るさを感じる美しいギリシャの街並みです。そして莞島(ワンド)の美しい田園風景を背景に、じんわり優しく心に染み入る作品でした。

ただ、最初のポスターを見た時に、ちょっとなんかエ〜〜という感じでした。大人のラブロマンスか???でもハ・ジォンさんのラブシーンが!(◎_◎;)
正直このドラマ、監督と脚本家に期待しただけに、なんかがっかり。美しい海外の背景をバックにしたラブロマンスは見飽きた感があるからです。

でも視聴始めたら、なんか全然違う….安心して見られそうです。

愛する家族、仲間を失ってしまうことに耐えきれない男の涙と涙を飲み込んで生き続けなければならない女を対照的に描いています。
母親に捨てられたチャヨンは、自分が生きていることが「食べることが幸せだ」と教えてくれた人ように、美味しい料理で人に愛を与え、ガンは、そんなチャヨンに愛を与える人間らしさを気づかせてもらったのです。

このドラマは、現実に疲れた男女が、ホスピスで医者として、料理人として働きながら、人間性を取り戻していく過程を描いた作品でした。

ユン・ゲサン:イ・ガン役 脳神経外科医

ユン・ゲサンssi、41歳、大人の男のいい味を醸し出していました。人生に疲れた感じの男の哀愁さも…..
シニカルな男、冷たい表情で隠しているが、その心の傷の深さと寂しさがヒシヒシと伝わってくる男を。

クールで優秀な脳神経外科医を。屈曲した人生を歩む寂しい男を。
ふっと見せる優しげな表情がある男を身体全体で感じさせてくれました。

彼のドラマ、どちらかというと物静かな無口なニヒルな役柄の方が付きですね。コミカルな役柄「最高の愛」も悪くはなかったですが。

ハ・ジウォン:ムン・チャヨン 料理人・シェフ

ハ・ジウォンさんも相変わらずの健康美ですね。「病院船」での演技と被ります。今回は医者ではないですが、心と身体を繋ぐフードセラピストみたい。食べ物を通して人の心を豊かにそして安定させ、希望を与える人を演じられました。

彼女は耐えて耐え抜いて、そして明るい笑顔で視聴者を安心させる、希望を与えるそういう役がお似合いの女優さんのように感じます。

海辺の食堂

海辺の食堂で子供の頃に出会った二人が、40代を前にして再び出会ってしまった。男は、クールでキレる脳神経外科医に、女は、料理人になっていました。ハ・ジウォン演ずるムン・チャヨンは次第にユン・ゲサン演ずるイ・ガンに何かの繋がりを感じる。そしてその彼が子供の頃に、空腹だった彼女に食事をご馳走してくれたあの男の子だと気がつきます。そう初恋の忘れられない男の子が彼だったのです。

イ・ガンは、その後、財閥の孫であったのが判明し、その家族と暮らすようになります。後継を巡る争いの中、厳しい現実の中で耐えながら優秀な脳外科医に成長しました。母親も事故で亡くしてしまい、孤独で、心は虚しいまま大人に成長していきました。財閥の中で誰の助けも借りずに生き抜いていくためには、心を閉ざして生き抜かなければならなかった彼の心の拠り所は、母親と一緒に過ごした海辺の食堂での思い出だけでした。

ムン・チャヨンは、デパート崩落事故でのトラウマから抜け出せずに心療内科に通っていました。出来の悪い遊び人の弟にいつもお金をせびられたり、後始末をさせられたりしています。母親は詐欺師になっていたようですが(最終回でのエピソード)、家庭は、崩壊していたのですね。
彼女は、料理人として一生懸命働けど、弟や母親の問題は解決しない。そんな時に心を癒し、元気づけてくれるのが「チョコレート」だったのです。

甘さは、脳を覚醒させ、満足感を与え、不安感をなくしますからね。

イ・ガンは、右手に痺れが出て手術が出来なくなり、財閥が経営するホスピスへ左遷させられます。脳神経外科としてまだまだ腕を磨きたい彼でしたが、肝心の右手が使えなくてはホスピスで甘んじるしかありませんでした。ムン・チャヨンもそのホスピスで働き始めます。ゆっくりと距離を縮めていく二人。
ここにくるまでのエピソードは、とっても丁寧に描かれています。

ガンがあの初恋の男の子だと確信したチャヨンは、心が少し安らぎましたね。
しかしイ・ガンはリビア医療団に飛ばされてしまい、瀕死の重傷を負い、生死を彷徨いながらも生き返ります。
その時、チャヨンは、どういうわけかイ・ガンの親友ミンソンから告白されて付き合い始めます。

元気なガンが目の前に現れます。彼女はミンソンに別れを告げて、誰にも知らせずにギリシャに旅立ちました。
それから数年後、そのミンソンの命が危なくなり、最後に彼女が作った餃子鍋が食べたいとガンに頼みます。
ガンは、ギリシャにチャヨンを探しに行き、料理人として働く彼女に頼みます。
ガンから逃れるために遠いギリシャで働いているのに….
そして彼女は、韓国へ戻ってきます。そのミンソンは、ホスピスにいました。ミンソンは、チャヨンが本当はガンを好きなこと知っていましたね。

ホスピス病院、緩和ケア病院、末期のガン患者のクオリティ・オブ・ライフを改善するために、チームアプローチする病院です。患者、家族、医師、看護師、ソーシャルワーカーなどがチームを組んで、「死を迎えるまで、患者さんが人生を積極的に生きていけるように支える」病院です。

脳神経外科医ガンは、末期になる前に、その患部を外科手術で治療する医師でしたから、患者さんの精神的ケアすることなんてしたくなかったでしょう。

ホスピスでは

ホスピスでの二人、ホスピスで働く人達、ホスピスにいる患者さん達のエピソードが、ジワーと( ͒˃̩̩⌂˂̩̩ ͒)が出てしまい、「ごめん愛している」の最終回シーンと重なりました。

ガンは、ホスピスで人の温かさに触れて、やっと人間らしい男に変化してきました。チャヨンを陰ながら気にするそぶりは、可愛かったですが、見守るだけでは進行しませんからね。でも、ホスピスの患者さん達のエピソードの方が胸を締め付けてしまうので、主人公ふたりへの関心は薄らいでしまった感じです。
男の子ジヨンの目に映るガンは、不幸そうに見えるというその言葉にハッとするガン。
ジヨンのエピソードは、一番辛かった。母親に見捨てられても母親を愛する子供。その子供の死がすぐそこにあるのに、何も出来ない、ただ見守り、食べたいもので、心を満足させてあげることしかできないチャヨン。こういう場面でのハ・ジウォンさんの演技力はすごいな〜。( ͒˃̩̩⌂˂̩̩ ͒)と明るい笑顔がとっても自然で….

「地球を守るために宇宙に帰るというジヨン」、そんなジヨンを見守るチャヨンとガン。このシーンは、タオルが必要でした( ͒˃̩̩⌂˂̩̩ ͒)

でもこんな綺麗なホスピスにどうしてこういう子供が入院できるのか……なんて疑問が湧いてきました。このホスピスの経営者、ガンのお祖母様は、この病院をか金持ちの老人ホームへと画策しています。そんな病院にどうして???「夢の楽園」ではないので…..

末期の患者さん達とのエピソードは、それぞれに辛いシーンばかりでした。でもみんな幸せな旅立ちができて良かった。
養子に出された少年の養母が、素晴らしい人で、実母に最後に少年が食べたがっているチゲを教えて欲しいと頼むシーン、母親の味は絶大であるというシーンかもしれませんが、こんな素晴らしい養母に育てられた少年が……そんな時にもこんな行動が取れる養母って神様ですね。

チャン・スンジョン:イ・ジュン  脳神経外科医 ガンの従兄弟

でも、ガンの従弟、叔父夫婦の息子チャン・スンジョ演ずるイ・ジュンとのブロマンス?は、シリアスでした。

優秀なガンに対する嫉妬心、常に比較されていることに苛立つ男。

叔父夫婦は、ガンが後継に指名されることが怖くて、あの手この手で、ガンを陥れます。リビアへ行ったのも死んでくれればいいと思ったのでしょう。
そんな両親の姿に、彼はどうしようもない絶望感を感じていたのでしょうね。自分を信じてくれない両親に。
そんなイ・ジュンの安らげる相手が陶芸の先生だった。その先生が、ホスピスにいました。このエピソードもガンと彼の人間的資質と医師としての資質がはっきり出ていましたね。ガンは、彼女の手術の経緯に疑問を持ち、それを告発しました。イ・ジュンはただ自分の虚しさを嘆くだけでしたから。

で、結局彼は、どう生きたかったのでしょうか?どういう医師になりたかったのでしょうか?
彼は常に家族のいがみ合いの中で育ってきて、自分自身を見失ってしまっていました。ガンも同じような境遇の中でも強く医師として生き抜いていましたから。やはりおぼっちゃまだったのではないでしょうか?
彼は、「ボーイフレンド」でもソン・ヘギョの元夫役でしたが、財閥の親に反抗しながら何も出来ない男役でしたね。

ガンとチャヨン、やっとなのにチャヨンが味覚障害に….

13話からは、ガンとチャヨンのやっとお互いへの気持ちを確認しての流れとなってきたのに、最後までうやむや、よくわからないエンディングで、終わってしまいました。味覚を失ってしまったチャヨン、それを知っているガン、このシーン、どうもよくわからない。手術しても無理なのでしょうか?
無理だから、ガンは手料理で彼女をもてなし、彼の愛を伝えたかったのでしょうか?その料理を美味しく食べるチャヨン。匂いと視覚でもわかりますが、料理人としては??

チャヨンは、20年間探し続けた母親との再会の後、「少し時間が欲しい」と言ってガンの元から去りましたが、どうしてもこのシーンへの伏線がなくて理解できません。

13話以降の流れが、雑というかよくわからないままに最終回、ギリシャのシーンで終わりとなってしまって残念でした。ガンの笑顔が回を追うごとに増えてきたけれど、なんかチャヨンがはっきりしないのよね。最初はガンを追っかけていたのにね。この流れがどうも急に受け身の女になってしまったのこのドラマを盛り上げなかった要素のような気がします。ハ・ジウォンさん演ずる女性は、前を向いて歩かなければ。「病院船」の最終回の方が良かった………病院船でも最後は確か難しい頭の病気になっていましたが、回復して戻ってきてエンドでしたが、ハ・ジォンさんらしい強い女性で終わりました。

前半のガンとチャヨンは各々の仕事を全うしながら、お互いを意識しながら成長し、お互いへの気持ちを確認していくシーンとしてわかりやすかったのですが、なんか突然にギリシャに行ってしまい、ガンは仕事を放り出して探しに行ってハッピーエンドとは、なんかスッキりしません。

ミン・ジヌン:ムン・テヒョン チャヨンの弟

ただ、チャヨンの弟は、ホスピスでの経験で、少しはまともに生きていけるようになって安心しましたが。
「アルハンブラ宮殿」のヒョンビンの秘書役でしたよね彼は。、ミン・ジヌンさん、彼は法学部出身らしいですね。秀才の彼が、こんな役やるのも役者だからですね。でも違和感ありませんでした(笑)
チャヨンの愛も一身に受けていましたからね。バッグハグは、このシーンの方がぐっときました。ガンのバッグハグよりも。

キム・ウォネ:グォン・ヒョンソク ホスピス院長

ホスピス病院の院長役で、またもやキム・ウォネさん登場。彼も複雑な人生を生きてきたようですね。

ヨム・ヘラン:看護師

看護師役のヨム・ヘランさんもすごく温かなで、頼り甲斐のある看護師としてかっこよかった。彼女はドラマを引き締めますね。

ガンとチャヨンのゆっくり流れる大人のラブが、ホスピスでのエピソードと家族とのトラブル中でバランスよく描かれていたとは思うのですが、ホスピスの患者さん達のシーンの方が切なくて、なんか二人のラブには気持ちが動かなかった。

ガンの寂しさ、孤独感、脳神経外科医として生きる男のロマンには切なさを感じましたが。ドラマの中のお料理も美味しそうでしたし、チャヨンの生き抜く強さ、明るさには拍手を送りたくなりましたが。

どうしても男女間の一緒にいたいという切実感を感じられなかったのが残念です。ガンは追っかけていきましたが、それもどうも切実感が乏しかった。

ユン・ゲサン演ずるガンも、女を守り抜く男としての強さは感じなかったせいかもしれません。でも韓ドラで、守り抜くかっこいい男ばかり見てきたせいかもしれませんね。
ガンは、寄り添う男だったかもしれません。
これから、二人の時間を向き合って過ごしていくというハッピーエンドなんでしょうけれど、やっぱりなんか一つスッキリしない後味が残りました。

チャヨンのお料理が、どれだけの人の心を豊かにして、愛を感じさせたのか。
その彼女の料理への気持ちを支えたのは、海辺の食堂でガンにご馳走してもらった食事だった。
彼女が事故で死にそうになった時に、もらったチョコレートで生き抜くことができましたが、そのチョコをくれた人はガンの母親だったのです。
多分、そのことはチャヨンは知らないはずですが….

そう、このドラマは、お料理が繋ぐ、人間の愛の物語でした。

 

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