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夫婦の世界

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夫婦の世界  The World of the Married 全16話(2020年 JTBC)

韓国ドラマの数ある中で、大人の愛の世界、夫婦の世界を描いた作品で、こんなに衝撃的な結末で終わった作品はなかったのでは?というのが感想です。

 

ヒロインのソヌには、最後まで共感できなかったけれど、理解はできる。
夫テウは、身勝手な男で、結婚生活には向かない最低な男なんだけれど、どこか憎めない自由人、個人的にはテウの変貌ぶりを楽しんでいました。

 

 

百想芸術大賞ドラマ部門で主演女優賞を2020年は、「夫婦の世界」でキム・ヒエさん、2018年は、「ミスティ」で、キム・ナムジャさんが、受賞されましたが、お二人ともベテラン熟女俳優さんです。大人の女性の愛の世界を描いたドラマが増えている中で、その存在感が輝くお二人ですし、今後もこういう作品が増えるのはとっても楽しみです。「ハイエナ」のキム・ヘスさんもそうでした。

演出:モ・ワンイル 「ミスティ」
脚本:チュ・ヒョン 「ピョン・ヒョクの恋」

 

韓国内での話題性、視聴率の高さが、伝えられても日本でもどうなのかな〜?と
不倫という社会的なテーマを扱った作品で、韓国内でハマってみた方が多いというドラマだということはわかりますが、心惹かれる面白さとは違って、「他人の芝生」を覗き込む人間の欲望を煽って成功したドラマだと感じました。ドロドロの復讐劇ラインは、韓ドラのメインですからね。復讐という生き方は、何も生み出さないし、こんな生き方は、悲しい。

 

イギリスBBCの「女医フォスター 夫の情事、私の決断」をリメイクしたドラマですが、原作側のBBCも絶賛したくらいのクオリティになった「夫婦の世界」です。でも韓国ドラマでリメイクされた作品、私が見た限りでは、どれもクオリティが高いと感じます。丁寧に綿密に設定や演出を韓国的にアレンジするテクニックは、素晴らしい。

ストーリーは、夫に不倫された妻の復讐劇ですが、夫もその不倫相手もやり返すというという不倫戦争です。
不倫という現実、今まで目に見えなかった人間関係、その後の様々な変化、人間の感情がいかに身勝手で、複雑なものであるかをリアルに描き出しています。

起承転結がはっきりした構成で、夫の不倫→復讐→葛藤→夫婦の在り方・生き方という流れで怒涛の不倫劇を描き出しました。

不倫した夫があまりに身勝手すぎて、ヒロインに共感させようと誘導させる脚本・演出には拍手もんだと思います。

ヒロインはキム・ヒエさん演ずる、チ・ソヌ。家庭医学科専門医・病院副院長

 

その夫、パク・ヘジュンさんが演ずるイ・テオ、映画監督・エンターテインメント実業家。

 

私の人生は完璧だと確信していた矢先に、夫が不倫していて、しかも共通の友人達は、すでに知っていて、自分だけが知らなかったという事実に愕然とするソヌ。

 

夫の才能を信じて、経済的なサポートをしてきたのに、2年も前から、若い女と不倫していたなんて。そんなことも知らずに、完璧な家庭だと信じていたソヌのプライドは。

 

殺してしてしまいたいと逆上してしまうソヌ。でも夫の誕生日パーティでは、冷静な愛されている妻を装うソヌ。

 

相手の女は、わがままで幼稚な匂わせ女、ハン・ソヒさん演ずるヨ・ダギョン。裕福実業家の娘、贅沢にならされ、親は娘を溺愛し、娘は怖いもの無しに育ったと言うような感じ。そんな娘が、まさか不倫し、妊娠までしているとは。他人の家庭を踏みにじったなんていう罪の意識を微塵も感じない女でした。ここまで図々しい不倫相手、許せない٩(๑`ȏ´๑)۶

 

社会的地位も経済力もある女は、復讐します。泣き寝入りしたり、自分の落ち度だと悩んだり、後悔しながら助けてくれる人を待ちません。そんなソヌの姿を、キム・ヒエさんが強くエレガントに演じられたのが評価された原因でしょうね。

この感想を書きながら、「グッドワイフ」「ミスティ」を思い出しました。どちらも夫は、社会的地位を自ら築けるしっかりした男なんですが、この「夫婦の世界」のテオは、女の強さに甘えて生きながらえるずる賢い男です。携帯を2台持って不倫を隠しているようですが、行動も考え方も浅い人間だから、二人の女に最後は、捨てられたのです。

 

でも「夫婦」は、社会で認められて社会という中で、協力しながら人生を一緒に歩んでいくパートナーであり、家族を作るパートナーだと思っています。家族は、血縁関係があるかないかより、生活を共にする関係であり、絆で結ばれている関係だと思っています。ソヌは、夫を育てて一人前の映画監督にしたかった。息子を学歴社会で生き抜ける男に育てたかった。妻として母としてそう生きることが、彼女のステータスだったような気がします。そしてそれを遂行している自分に満足していた。そんな時に、夫が若い女と不倫していた。夫テオが2年前から、いえもっと前から、妻以外の女性に気を取られていたのかもしれませんが、そんな予兆に気がつかなかった。母親でもない妻を、よく騙し通せたテオは、ある意味凄腕の遊び人です。騙されいた妻は、飼い犬に噛まれた状況です。夫と言うより、自分を輝かせるお飾りだったような夫と息子…..そんな目線で見てしまったこのシーン、この写真。

夫をサポート、内助の功とは、妻が言うと、それは自惚れになる。

 

夫の不倫を夫が貸してくれたマフラーに付いていた長い髪の毛1本で感じたソヌ。そこからの展開は、すごくスリリング!
ダラダラした不倫ドラマでなく、動く動くソヌ。その行動はどんどんエスカレートしていく。

私の息子、家、人生、どれ一つも奪われるつもりはない。あいつだけを私の人生からきっぱりと切り取ると言うソヌ。彼女に内緒で家を担保にして金を借り、息子の学資保険までも手を出していた夫テオ、そして不倫して、そのお金でダギョンにバッグなどを買い与えていたことを知ったら、それは許せないわ。

お金にだらしない男、不倫した男、家族に誠実でない男、仕事よりも女のお尻を追っかける男、不倫の秘密を守る為に妻の同僚も巻き込む男、どうしようもないダメな男テオ。

でも、ソヌもダギョンも綺麗で、頭の切れる女なのに、どうしてこんな男にひっかるのか?

どちらも執着心と所有欲の強い女性でした。それを愛だと勘違いしている女性でしたね。ソヌが、息子、家、人生どれも渡さないと弁護士に言いましたが、あの豪邸から息子と二人で離れて生活したら、ソヌの生き方に共感できたかもしれない。あの家から、職場から離れずにいると言うことで、私と息子は被害者で、テオが悪い男だと知らしめたかったのか。彼女のプライドがそうさせたのでしょうが、プライドよりも息子を守って欲しかった。あの家、開かれたイメージの家ではなかった。

 

ソヌは、自分の患者のヒョンソという女性に精神安定剤を渡す代わりに、テオの尾行を頼む。そのヒョンソの恋人インギュは悪賢い男で、それを利用してソヌとテオの両方を脅迫して金を脅し取ろうとします。人の弱みにつけ込むソヌ、テオ、同じタイプの人間だったのですよね。インギュは、嫌な男でしたが、その種を巻いたのは、ソヌだったのですから。ヒョンソのイギョンへの愛は、哀れみだった。ヒョンソはソヌの尾行して欲しいという頼みを受け入れたのも、ソヌのテオへの愛と自分たちの愛との歴史を同じ様に感じたからではないのだろうか。ソヌが落ちぶれていく姿を見たくなかった。もっと冷静になって欲しかったのかも。

 

ソヌは、ダギョンの両親に娘の妊娠をばらし、テオの会社の税務管理をしている隣人のジェヒョクからテオの個人口座の情報を渡す代わりに関係を持ってしまう。ついにテオが暴力を振るったことで、ソヌの思い通りに離婚は成立して、テオは追い出されました。そして2年後、テオが、制作した映画がヒットして、またソヌと息子が住む街に戻ってきます。

 

まさか、成功して戻ってくる?  ダギョンの父親のおかげでしょう。本当に運のいい男ですよ。でも、まだ未練があるからでしょう?
テオは、「やり返すために戻ってきた」なんと考えが幼稚。それについてきた今は妻のダギョンも同じです。でもこうならなければ、ドラマは終わってしまう(笑)

息子 イ・ジニョン/チョン・ジンソ

 

後半は、息子ジュニョンが鍵を握ります。ソヌもテオも息子を自分の元に置きたい、暮らしたいのです。でもジュニョンは、父親の浮気も初めから気がついていたし、母親の過敏な反応にも悩んでいた。ジュニョンは、父親が好きだったから。きっと幼稚な父と歯車があったのでしょう。母は、勉強や生活に口うるさかったから。

元夫婦の火種は、燻り続けて、あの一夜をともにしてしまうシーン。それを見てしまう息子。

そしてヒョンソの恋人インギュの不可解な自殺シーン。

ヒョンソの言葉通りに、情や、哀れみが残っているからだし、それを吹っ切れない人間の弱じさせました。

 

テオのソヌへのストーカー行為、気になって仕方のない元妻への執着心。
ダギョンにソヌと同じ香水や洋服を身に纏わせるテオ。

 

ソヌは、そんな元夫との修羅場に疲れ果てた。それに、息子ジュニョンが、「複雑なのはもううんざり。お母さんさえいなくなったら楽になりそうだ」というメールをもらい憔悴してしまい、自らの死を選びますが、同僚の医師、キム・ユンギに助けられます。このシーン、なんか不自然、あれだけやり返していたソヌが、こんな結末を選ぶなんて。でも疲れすぎていたのかも……

 

同僚医師 キム・ユンギ/イ・ムセン

でも、すぐにカムバック。普通は、なかなか元に戻れませんよ。同僚医師のユンギ先生、冷静にソヌを見ているのか、愛しているのかよくわからなかった。見守りタイプの男性として登場させたのでしょうが、でもテオがあまりに身勝手なので、冷静すぎてやっぱり医者として見ているのかと……

息子を取り戻し、ダギョンに「あなたの夫と寝た」とまたもや宣戦布告するソヌ。ダギョンは、気がつくのですよ。自分は、ソヌの身代わりだったと。

 

テオは、「妻ソヌがいない人生は想像できないし、愛人ダギョンといると俺が生きてる感じがする、二人に対する気持ちは色が違うんだ、二人に対して本気なんだ」という、このエゴな発言!!  結局、自分のそばには、その時々でソヌか、ダギョンが必要だということか。身勝手すぎる不倫男は、妻に男ができると無関心だったくせに急に、執着し始める。女性目線でドラマは動きますね。

 

こんな両親だったら、息子は逃げ出したくなります。
息子は、両親二人の間で愛されるか、どちらかの場所で絶対的に愛されたかった。でも違った。
母は、父を捨て切れないでいる、父はそんな母を頼っている。そこには自分の居場所がない。
だから家出してしまう。

 

この息子もやはり、甘ったれなんです。この様に育ててしまったソヌとテオ。
両親の間で傷つき、荒れ果ててしまったジュニョンですが、強くなって戻ってきて欲しい。でも、ソヌの今までの生き方だったら、息子を探しまくるでしょう??
まだ未成年の息子がどうやって家出した後、生活できるの?祖父母もいないし、頼る親戚もいない様だし。
なんか開かれたエンディングということですが、理解できませんでした。

 

もう1組の夫婦   浮気男ソン・ジェヒョク/キム・ヨンミン 耐える妻イェリム/パク・ミニョン

隣人夫婦、妻が専業主婦で、夫がテオよりか頭がきれる税理士だった。夫は子供は作らずに人生を楽しみたい派で、浮気も繰り返していました。でも単純に、女が好きというタイプみたいで、テオの様にドロドロ沼には嵌らないクールな浮気者タイプでしたね。
でも妻は、そんな夫を常に監視続けるが、プライドや、世間体を気にしてうやむやにして生きてきたが、ソヌ夫婦の戦争を見ながら、自分の幸せを真剣に考え始め、離婚することにする。夫はそんな行動にびっくりして、妻を取り戻そうとするが、彼女は、別れを選択しました。ソヌの生き方と対照的に描きたかったのでしょうか。でも夫の裏切りはどんな形であれ、こういう結果になるのだと。。

夫婦の間には、結局一方的な加害者も、完全な被害者もいない….

全てが終わってようやく見えてくるものがあるのです。今まで必死に掴んでいたものは愛ではなく執着だったことを・・・そんなもの何の意味もなくただ自分の傷口を大きくするだけ・・・相手に対して勝とうと思えばきりがない。

「覆水盆に返らず」です。「離婚した夫婦は二度と元に戻らない」

イギリスで制作された不倫を扱うドラマです。イギリスという国での夫婦意識、不倫の定義もこのドラマに影響していると感じます。韓国にアレンジしても、あすこまで女性が強気で頑張れるのか? 不倫文化のイギリス、あのダイアナ妃を想い出します。チャールズ皇太子とあのカミラ夫人、堂々と再婚されて幸せそうです。あのダイアナ妃との結婚は、あの修羅場は?? 悲運な死を遂げたダイアナ妃。

愛、嫉妬、復讐、執着がキーワードのドラマでした。

過去に視聴した不倫ドラマ

 

妻の資格 キム・ヒエ/イ・ソンジェ

 

誘惑 チェ・ジウ/クォン・サンウ

 

密会 キム・ヒエ/ユ・アイン

 

空港に行く道 イ・サンユン/キム・ハヌル

 

VIP イ・サンユン/チャン・ナラ

 

二度目の二十歳 イ・サンユン/チェ・ジウ

 

皇后の品格 チャン・ナラ/シン・ソンロク

 

視聴した不倫を扱ったドラマですが、全て女性が強く生き抜いていました。自らのパワーで……じっと助けてくれるナイトを待つ女性を扱った不倫ドラマは見ていない(笑)

JTBCは、「妻の資格」「ミスティ」「ハイエナ」「夫婦の世界」と女性が強く生き抜くドラマを制作するのが上手いですね。でも「夫婦の世界」は、やはり色合いが違う不倫ドラマで、ソヌを応援したくなるドラマではなかった。息子がかわいそう!!!

 

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