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シカゴ・タイプライター

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シカゴ・タイプライター Chicago typewriter 全16話(2017年 tvN) ☆☆☆☆

脚本:チン・スワン (太陽を抱く月・兄嫁は19歳・キルミー・ヒールミー)
演出:キム・チョルギュ(空港に行く道)

キャスト

ハン・セジュ  前世ソ・フィヨン(ユ・アイン)
ユ・ジノ    前世シン・ユル (コ・ギョンピョ)
チョン・ソル  前世リュ・スヒョン(イム・スジョン)

「シカゴ・タイプライター」のポスターを見た時、正直、このユ・アインさんの短く刈り上げた髪型に、ちょっと戸惑った感がありました。やはり髪型は長い方がいいです。
ユ・アインさんの髪型は、現世と前世を強烈に視聴者にイメージさせるテクニックだったのだと思っています。また、この刈り上げた髪型で、人気作家で、一癖も二癖もある気難しい主人公のキャラクターをも表現したかったのでしょうね。奇抜な髪型でしたが、見続けていると、前世のフィヨンとセジュの正反対な性格も鮮明に感じられて彼の演技力とのコラボが個人的にはとても素敵でした〜〜

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映像がとにかく美しい。ノスタルジックで、アンニュイでセンス抜群です。
「空港へ行く道」とやはり同じような落ち着いた優しさを感じる映像です。

この SG WANNA BEの「私達の話を書きます」は心に染み込みます。

OSTも秀逸でした。このドラマの世界観を感じられる音源でした。
懐かしさとミステリアスさと静けさの中に、ほんのりとした香りを感じるような優しい旋律が心を満たしてくれました。アンニュイな感じもする映像の流れの中で、物悲しく、時には激しく、時には温もりを感じさせる旋律、このドラマのイメージを感動を盛り上げるOSTでした。ビターだけど静けさのあるOST、早速、OSTをダウンロードしました。

ユ・アインさんの髪型とセジュの個性が強烈でしたから、音源は優しくて静かで良かったというのが感想です。こんな韓ドラが好きなんですよね。
秀作なのに、韓国では視聴率取れなかったようですね。

始まりは。。。

人気作家ハン・セジュはシカゴのカフェで古いタイプライターに惹きつけられるように出会います。何かを感じたセジュはそのタイプライターを譲ってほしいと頼みますが断られます。しかしその夜からミステリアスな現象が次々起こりタイプライターの持ち主の店主は、手放すことにします。「ハン・セジュに送ってほしい」という文字がタイプライターに打ち出されたのです。そのタイプライターをセジュに届けることになったのがチョン・ソルでした。ソルはセジュの「ファン1号」と名乗る熱烈なファンです。色々なアルバイトをして生計を立てていたので、このタイプライターをセジュの元へ導かれるように届けるところからドラマは展開するのです。
セジュが、自分の仕事部屋の飾り棚にそのタイプライターを置くと、どういうわけか前世の1930年代の幻のような場面を見るようになってしまうのです。セジュは、実はスランプに陥っていて、精神も病みかけていたので、この現象でますますおかしくなってしまいます。
そのタイプライターには、ゴーストが宿っていました。そのゴーストがユ・ジノで、セジュの代筆作家として登場します。本当のゴーストライターですね。
ある日、セジュが交通事故に遭い、怪我で執筆作業ができなくなりますが、誰かが「シカゴ・タイプライター」という連載をセジュの名前で始めます。その小説が大ヒット。
ますますセジュは追い詰められていきます。そこへユ・ジノが、ゴーストライターだと名乗って現れます。「スランプを克服するまで小説を自分が書くから、俺の女を守ってくれ」と提案されます。ジノの「俺の女」とはソルでした。

「シカゴ・タイプライター」とは、銃声がまるでタイプライターを打つ音のように響くトンプソン・サブマシンガンの別名です。このドラマの前世は1930年代、その時代にハングル文字が打てるタイプライターがあったようなので、このドラマのタイムスリップする時代を鮮明にするために必要だったのです。人気作家の作業道具として文字を打つ、現代はパソコン、前世はタイプライターとして。。。

1930年代は、韓国は激動の時代、日本からの独立運動が盛んな時代です。なんか「軍艦島」みたいな日本に対する誤ったイメージで展開するのかと思いましたが、独立運動とそれを阻止しようとする韓国人同士の展開でホッとしました。

このドラマも転生、前世、その時代が交差する流れですが、非常にわかりやすい。助かりました(^◇^;)
「トッケビ・鬼」は時代が飛びすぎて、トッケビの悲しみがよくわからなかったからハマれなかったと思っています。

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流れもスピーディで、コメディタッチもあり、満足しました。
あのモヒモヒ、うじゃうじゃ毛のワンちゃんキョヌ、可愛かった。
コ・ギョンピョさんのゴーストがそのわんちゃんキョヌに憑依してソルになでなでしてもらおうする場面も笑えました。

一番笑えたのは、書斎の絵のユージン・オニールの人物画の表情が変わるところかな〜

ハン・セジュの住む家のインテリアは豪華で、細部まで徹底的にデザインされていましたね。天井は高くそこを埋め尽くすような書棚のあるセジュの仕事部屋、「星から来たあなた」「シークレットガーデン」よりすごかった。
セジュの衣装も売れっ子小説家らしくクールでかっこよかった。あの髪型で、ちょっと怖い感じもありましたが。。。

コ・ギョンピョさん

タイプライターに宿り、ゴーストとなって現生をさまようユ・ジノを演じたコ・ギョンピョさん。
この役柄がとても良かったですね。
前世で愛したスヒョン・現世ではソルを優しく見守るゴースト。
なぜ、自分が死に、ゴーストしてさまよっているのかを明らかにするためにセジュとともに執筆活動するが、愛しているソルが、セジュを愛していることに気がついてしまう。
なんか彼女を精一杯見守る彼の演技に切なさと悲しさを感じました。ただかっこいい御曹司役だった「嫉妬の化身」の時より断然素敵でした。

イム・スジョンさん

「ごめん、愛している」以来です。もう38歳なんですね。でもユ・アインさんと年齢差感じませんでした。
イム・スジョンさんのアンティークで落ち着いた雰囲気、「ごめん。愛している」の時とあまり変わっていないと思いました。
ユ・アインさんとのケミも魅力的でした。
熱狂的なセジュのファンだった彼女は、前世では独立運動の女活動家でした。その彼女を愛した前世のフィヨンとジンオ、セジュとジノです。
活動的な部分は前世と現世は変わらないかな。
ソン・ヘギョさんのようにはっきりとしたオーラを感じる女優さんとは違い、スモークな感じでオーラを発揮するイム・スジョンさん、なんか好きです。
「ごめん、愛している」でムヒョク(ソ・ジソブ)のお墓で自殺するウンチェ(イム・スジョン)のあのシーン、忘れられません。愛を貫いたといえば素晴らしいんでしょうが、そんなかっこよさではなく、彼のいない世界で生きていけないウンチェの悲しさが伝わる最後でした。あのドラマはウンチェのひたむきさが忘れられないのです。なんかソルにも感じますね。

クアク・シヤンさん(ペク・テミン役)

彼の家族、父親も母親も彼も全て彼に依存して生きているような存在。
セジュが両親を亡くしたから、引き取って育てることは愛に満ちているのですが、でも結果は、彼の才能に気づいた父親と母親に威圧されてセジュは生きてきてしまった。それを利用したテミン。
ソルに横恋慕して、セジュを威嚇しようとする最後まで嫌な奴。
セジュの作品「縁」を盗作した人間。

前世でも、セジュ/フィヨンを殺そうとしたスパイ。
いつも言い訳ばかりしている男。
前世でもスヒョン/ソルを痛めつけた男。その結果が、ジノ/ユルがスヒョンを助けるためにフィヨンが頭領だと告げてしまったのだから。
勧善懲悪的な設定ですね。徹底的に悪い男だと。
結局テミンの父親は何をしたかったのかよくわからない。この家族がこのドラマに必要だったのかと?

ユ・アインさん
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前世のフィヨン、現世のセジュ、髪型、服装より、とにかく体型も違って見えました。前世は細く華奢で、現世は、堂々とした人気作家の風貌で少しふくよかでした。時代背景も考量しつつ、転生した自分を戸惑いつつも、まるで別の人格のように演じきったユ・アインさん、すごいですね。あの記者会見のピンクの花柄のスーツはちょっとですが。。。

きっと彼は、しっかり計算してこの役を演じきったのでしょう。彼の美的センスが垣間見られた気がします。
前世の幻が見える設定、スランプで落ち込んでいる設定、複雑に絡み合って彼が精神的に病んでしまっているように見える展開は、当たり前でしょうという感じがします。それをさらっと演技できる彼。「密会」の時よりやっぱり大きくなりましたね。初々しさからもうなんかドーンとした力強さを持っている俳優さんに成長した感じがします。
このドラマ、彼がセジュを演じたからこそ、見ごたえのあるドラマになったと思っている。

セジュの成長物語でもありました。他人であっても育てられた恩義を感じながら成長したセジュ。
孤独だったセジュ、ソルとジノとの出会いで彼は人としての感情が生まれました。
ソルへの愛の表現を自然に出来た時から彼は堂々とした作家に変貌していたように思います。
このドラマは、フォーカスポイントがはっきりしなかったのも視聴率取れなかった要因ではないかと?
「トッケビ」のように生き抜く悲しみを語り続けていたのとは違いますね。

でもなんかセジュの悩みもがく心理を、ノスタルジックな映像でスモークして描き出す雰囲気にはまれた人には、心地よい旋律とともに味わえたかもしれない。その一人ですから。。。

彼は決して優等生タイプの俳優ではない。でも、這いつくばっても俳優をやっていこうとするタイプの俳優さんだと思っている。
兵役免除になってしまった彼ですが、いつかきっと素敵な姿で登場してくれることを期待しています。

このドラマの主人公の3人、それぞれがキャラクターを完全に演じきっている感じが良かった。
前世で成し遂げられなっかった想いを、現世で成就させる感もあるストーリー展開ですが、時代が違いますから、前世の想いを大切にして現世を大事に生きていこうとするセジュとソルです。ジノはゴーストですから、転生できなかったという設定ですから。

3人のキャラに、3人の俳優さんの演技が素敵だと思う人にはきっと素敵なドラマだと思います。

前世、1930年代のフィヨンとスヒョンのシーン、胸が痛くなりました。
現世のかっこいいセジュより素敵でした。

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ユ・アインさん、個性のある役者さんに成長していますね。

またドラマでお会いできる日を楽しみにしています。

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