太陽を抱く月 The Moon That Embraces the Sun 全20話 (2012年 MBC)
最初にざっくりとあらすじを〜
初恋のヨヌを思い続ける王イ・フォンと、幼い頃の記憶を失ってしまったという、ヨヌに生き写しの巫女ウォルの悲恋を題材にしたドラマだ。ヨヌとフォンの出会い、一方的にフォンに思いを寄せるボギョン、ヨムに夢中になってしまうミナ公主などの恋が並行して描かれる。 一方でヨヌは、世子嬪として選ばれた直後に急な病に襲われ、実家へ戻される。そして父親である弘文館大提学ホ・ヨンジェの懐に抱かれながら、静かに息を引き取る。これは呪術によって仕組まれた事件でした。その彼女が8年後にフォンの前に現れた。だが、彼女は自分を巫女ウォルだと名乗り、フォンはヨヌの死に疑問を持ち始めて、彼女の死に関する真相が明らかにしていく。神降ろしを体験した記憶さえないウォルは隠月閣(ウンウォルガク)に入ってから、不思議な気を感知するようになる。ヨヌが記憶を取り戻していく過程とその時期がまさにドラマの転換点。さらに、フォンがヨヌの過去に対して推理し始めて、ドラマの緊張感がだんだん高まっていく。。。
忘れられない初恋。若き王と美しき巫女の哀しくて切ない宮中ラブファンタジ〜ロマンス。。。でした。
月を恋い慕う太陽として描かれる王、イ・フォン
太陽を抱く月 ヨヌ
太陽を遮る孤独な光 ヤンミョン
月を仰ぐ鏡 ユン・ホギョン王妃
タイトル「太陽を抱く月」に惹かれてしまいますね。
「男性が太陽で女性は月、太陽に照らされて月は輝きをます。自然発光しようとする」
ロマンチックで、ものすごく雰囲気のある歴史ドラマを想像してしまいます。
そして感想は。。
6話までの子供時代と、それ以降の大人時代とがしっくりしないと言われていた「太陽を抱く月」。
キム・ユジョン→ハン・ガイン(ウォル)
ヨ・ジング→キム・スヒョン(イ・フォン)
イ・ミンホ→チョン・イル(ヤンミョン君)
キム・ソヒョン→キム・ミンソ(ユン・ボギョン)
シワン→ソン・ジェヒ(ホ・ヨム)
イ・ウォングン→ソン・ジェリム(ウン)
今まで見た時代劇ではだいたい幼少期が長いのは、面白くなくて苦手でした。
でもこの「太陽を抱く月」では最初からもう引き込まれてしまって、7話以降どうやってそのテンションを保とうかと奮闘しました。
ハン・ガインさんがまずは無理。声のトーンは低いし、目だけが目立つ顔の表情、スヒョンさんとの年齢差が歴然。
ヨヌのお兄さん役がシワンさんからの劣化とも感じられる方でガックリ。
ウンだけは大人になってソン・ジェリムさんに変わり、うっとり美男子で素敵、交代成功でした。
7話までの子供時代のみずみずしさ、初々しさ、これぞ「初恋」という感じで本当に良かった〜
8話以降は〜
ウォルは、神秘的でベールに包まれた感じで、彼女が何を考えているのか、誰を愛しているのか、何を求めているかがわかりにくく描かれていました。というかウォルも自分探しをしていたので分からなかったのですよね。
そのミステリアスな部分に、巫女ウォルとして王フォンは初めは惹かれていくわけですから。
王フォンは、ヨヌの死の真相を探る旅と、彼女を失ってからの頑なに閉ざした心で生きる氷のような冷たい王でしたね。
そんな自分を探し求めているウォルと、「初恋」にとりつかれた王の恋愛物語。
このドラマでは、自分の恋しい人、想いたい人にブレがないのです。頑ななまでに恋する人を限定してしまっています。
ある意味、この人たちは純粋かもしれませんが、大人ではない。王フォンの愛は、狂おしいほど子供っぽく感じる私です。
そのような王フォン、王妃に対して、あの冷たいまでの眼差しで徹底的な無関心さを超えた冷たさで拒否し続ける。
そんな王と王妃の方が興味がありましたね。
ヨヌを陥れてまでして手に入れた王妃、国母の座。
でも本当は、王の愛が欲しかった。自分には手に入れられないと知った時からの彼女の焦燥感と苛立ちと敗北感と挫折感はプライドが高いゆえに見ていてかわいそうでした。
それでも気にしない王フォンは、あまりに酷すぎるようにも見えました。
情もない王フォン。
キム・スヒョンさんの熱演で、最後まで視聴できました。
「初恋」から逃れられない王フォンと18話で、王としての肉親を裁かなければならない悲運な王フォン。
それもすべて「ヨヌ」を愛するがゆえの決断でした。
ミナ王女が、ヨヌの兄のヨムと結婚したいがために、祖母の口車にのってヨヌを呪縛で殺害することの手助けをしたのでした。
その真相を知った父王が、娘のミナ公主の罪を伏せるため、事件の真相を隠滅したのでした。
18話でのスヒョンさんの演技は圧巻でした。
父王「この父が守ろうとした者たちを許し守ってくれ」
父王「王とは1つを得たければ1つを捨てろ」
王フォン「自分は正しいことは自分のすべてをかけて守り、過ちは譲歩なしに正す国を目指す」
23歳のフォンが15歳のフォンに気づかされる。
「万物または人を正しい位置につかせること。それぞれの立場を元どおりにすること。それが君主として歩むべき道であることを忘れたのか!」
「父上にはさらに罪深いことをした。元大提学(ヨムとヨヌの父)には償い切れない罪を犯した。余にもヨヌ嬢に対しても。その罪をどう償うつもりだ。一体どんな方法で償うのだ!」
ミナ王女がしたこと
ヨムから最愛の妹を奪い、その後の人生を嘆き悲しみの中にいれたこと。
出世の道を断たせたこと。(王女の夫は政治介入できない。)
ヨヌとヨムの両親から最愛の娘を奪い、フォンから愛する女性かつ妻を奪い、娘の罪を伏せるために自らも罪を負うことになった父王。
国から正当な未来の王妃を奪い、外戚の専横を許し、果ては民衆を苦しめる結果となった。
しかし一番悪いのは、孫娘をそそのかした祖母のユン大妃です。
16話、ヤンミョンの下した選択は胸が痛くなりました。
ヤンミョンもヨヌを愛していました。でもその愛を捨ててウォルを守るという選択は、その恋を捨ててウォルの愛するフォンも守るということなのか。
ヤンミョンの壮絶な最後は、哀しくなりました。国を守り、王を守り、愛するウォルを守った人、ヤンニョン。
王フォンの悲しいまでのヨヌへの初恋の成就までの執念、王妃とも8年間も寝室を共にすることを拒否続け、恋するヨヌへの一途さを生きがいにしていた王フォンのドラマでした。
ヨヌの巫女ウォルに生まれ変わったけれど、王フォンを見たときに、その思いを確認したウォル。それからは、「自分探し」をしながらすべての流れを知った時、フォンに対しての気持ちを隠し続けなくてはいけなくなった。でもなんかあまりかわいそうに見えなかったのです。ハン・ガインさんという女優が表にですぎたような気がします。
それがこのドラマに対してハマれなかった理由ではないかな?
かわいそうな、初々しい、消えそうな神秘さが感じられなかったのでしょう。ミステリアスより、ウォルとして生き抜く力強さを感じました。なんかそのイメージはこのヨヌ・ウォルとは違うような気がしていますが。
でもこのドラマはすごい視聴率だったようですね。
こういう「一途な愛」を好む国民性なのでしょうか。
タイトルから察するともっと大人のドラマかと思ってました。
やはりOSTが良かったです。これがこのドラマの雰囲気を盛り上げましたね。