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「黄金色の私の人生」 ソ・ヒョンギョン作品に思うこと

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黄金色の私の人生 My Golden Life 全52話(2017年 KBS)☆☆☆☆

黄金色の私の人生、見終わりました。

同じようなホームドラマというジャンルの「月桂樹洋服店の紳士たち」の感想は書けませんでしたけれど、このドラマの感想は残しておきたかったので書き残します。

イ・ドンゴンさんのドラマ好きで、「月桂樹洋服店の紳士たち」見続けましたけれど、ヒロインがどうも理解できなくて。感想は書かずじまいになってしまいました。でもお二人のご結婚は祝福です。幸せになってほしいな〜イ・ドンゴンサンssi…………

いろんな意味があるけれど、ヒロインの生き方に興味が湧き、どうなるのか気になったからかな〜。
興味はあったけれど、面白かったけれど、ジアンには共感できなかった。
終盤での好きな相手(ドギョン)に恋に一途になりすぎての暴走気味な告白には不快感を感じました。
自分を愛してくれる男だからとわかって酷な要求するのは、女の甘えの構造が見えて50話以降はちょっとねえ〜………
ジアンの卑屈さが、ドギョンの前ではでてしまうのが悲しい。
素直さが彼の前では常にアンバランスで、それなのに、彼はずっと見守ってくれているのにね〜

パク・シフさん、彼の資質は演技力とは関係ないと思っても、それもおかしいですが、5年前のスキャンダルは彼が生身の男なんだと、彼の現実感を感じてしまったのです。ドラマの中の彼はあくまでも虚像であり造られた人物像であるとわかっていても、あまりにかけ離れた現実を見させられるとどう理解したらいいのか戸惑いました。でも別に彼は男だし、独身だし問題ないのではと思う気持ちもありました。でも超リアルな現実感のある事件でしたからね。

今回のパク・シフさん演ずるチェ・ドギョンは、ノブレス・オブリージュを貫く財閥3世という男です。いい意味でも悪い意味でも。でも現在の韓国社会では、特権的な地位の方々から伝わる話は、みんな「持てる物の義務」を果たさずに、傲慢にエゴに走られている話ばかりです。そんな時に彼がこんな役をやるのもなんか興味が湧きました。
パク・シフさんもある意味役者として俳優としてそういう地位を築きあげられたのに、それを自らが崩壊させてしまった。でも俳優として彼の出演したドラマは間違いなく面白い。そういうファン(私)もいるから地道に頑張ってほしい。

脚本がソ・ヒョンギョン作家、彼女の作品は、ヒロインの生き方、考え方が前面に出てきて共感するんです。芯の強い、言い換えれば意志が強い女性の在り方を問うような作品です。そのヒロインを愛してしまう男は、自分の在り方さえも変えて彼女を守ろうとする男たちになってしまいます。でもヒロインたちの生き方は決してわがままではなく正直に真摯に生きようとする姿です。「いとしのソヨン」は少々イ・ボヨン演ずるソヨンの切実さが傲慢さにつながり、自己保全に走る姿にうんざりしました。でもその懸命に生き抜く姿は、あっぱれでした。そんな彼女を見守る父、「黄金色の私の人生」ではジアンの生きる道を間違えないように見守った父の姿が同じでした。どちらの作品も父の娘への愛が満ち溢れる作品です。そんな父の後ろ姿に涙がうるっときました。「華麗なる遺産」のドラマもヒロインが懸命に生きるのに、それがなかなか実を結ばずにイライラしたドラマでした。でも愛を持って懸命に生きる人は幸せになられるというメッセージを残しました。「黄金色の私の人生」、「いとしのソヨン」この二人の父、同じ俳優さんが演じられましたが、娘を愛し、家族を愛し守る大黒柱の父を力強く演じられました。こういう父親像があってこそ成立するドラマですね。不器用に生きている父、でも善良に生きる父、最後は幸せになりましたものね。

* 2009年 華麗なる遺産
* 2010年 検事プリンセス
* 2011年 私の期限は49日
* 2012年 いとしのソヨン
* 2013年 TWO WEEKS
* 2015年 2度目の二十歳

ソ・ヒョンギョン作家の作品です。


キャスト

パク・シフ(チェ。ドギョン役)ヘソングループの一人息子で財閥3世

シン・ヘソン(ソ・ジアン役)ソ・テスの娘 二卵性の双子の姉 ヘソングループの契約社員

イ・テファン(ソヌ・ヒョク役)ジアンの高校生の時の友達・ネットでインテリア販売をする実業家

ソ・ウンス(ソ・ジス役)ジアンの二卵性の双子の妹

チョン・ホジン(ソ・テス役)ジアン・ジスの父親。以前は会社も経営していたが失敗する

スーツ姿が決まるパク・シフさん。このドラマでも優雅さと品格を感じさせるダンディーな33歳の財閥3世を演じられました。
ヒロインのシン・ヘソンさん、「青い海の伝説」「彼女はきれいだった」「ああ、私の幽霊さま」などに出られていたようですが、記憶にない。
ナチュラルな感じの女優さんですね。「愛の温度」のソ・ヒョンジンさんのような印象を受けました。このドラマのヒロインの演技で賞も受けられたし、これからの活躍が楽しみな女優さんです。

あらすじ的な感想………

このドラマは、財閥ヘソン家と一般的なソ家の話。

* ジアンとドギョンのロマンス
* ヒョクとジスのロマンス
* ジアンとジスの姉妹の関係
* そしてジアンと父テスの親子愛
が主に描かれています。

韓国の世相を反映していたから視聴率が40%以上取れたという話ですが、夢は大きくそれに向かって努力している前向きな娘ジアン。父の事業が失敗して思うような援助が受け入れないので、母の勝手な思いもあって財閥の家の娘として引き取られます。ジアンは、努力しても努力しても報われないのは自分の問題ではなく家庭環境、つまり経済的な問題が大きいと考えています。そういう娘を父は見守るしかなかった。つまり、自分の能力が発揮できないのは、経済的問題だということでしょう。ジアンが、新しい財閥家で奮闘している姿、そこで芽生えるドギョンとのロマンスに期待感があったのでしょうね。でも、ジアンって一度は親を捨てたんですよね。自分の夢のために。そしてドギョンとは兄妹ではないとわかった時点で、ドギョンへの愛を感じる。二人は恋愛関係を自覚する。そして父テスが、自分のため、妹のために母が起こした詐欺のような問題を、末期ガンにもかかわらずに解決したことで、自分の身勝手さを許せないと、今度はドギョンに難題を持ちかける。「自分を記憶から消せと。」
とにかくジアンの涙の場面も多かったけれど、自分が許せないのはわかるけれど、ドギョンを振り回しすぎです。

妹ジス、ドギョンの本当の妹、彼女の方は、自分の立場をよくわかっていて、無理な夢を見ずに堅実に生きるタイプです。財閥家に戻っても自分のペースを崩さなかった。
ジアンは、財閥家に入った時に、その色に染まろうとした。そんな彼女がどうしてドギョンを責めるのか?自分を愛してくれる男に甘えていると感じます。懸命に真面目に努力して生きる姿が確かに熱く感じますが、幼く感じます。だから父は可愛かったのかな。。

きっと韓国社会で視聴率が取れたのは、能力のある女性で経済力のない家庭の娘の夢物語としての期待感があったのでしょうね。財閥の男はすべてを捨てても彼女を守ろうとする姿に。。。最後は父の姿に、自分の卑屈さを認めて生まれ変わろうとしたその生きる強さにも期待感があったのでしょうね。

非常に展開の早いドラマでした。財閥、出生の秘密、双子の入れ替わり、母親の横暴さと狂乱となんかよくあるの韓ドラのテーマを早い展開で次回へと期待を持たせるパワーがすごかった。簡潔で分かりやすくまとまっていました。
俳優陣の演技力とチームワークがこのドラマを完成させた要因でしょう。
ヒットするドラマって俳優陣のチームワークというか撮影現場が活気にあふれていないと結果として現れないでしょうね。
ドロドロしそうな内容を、面白さと爽快さに変えたのは、シン・ヘソンさんとパク・シフさんの演技力だったと感じています。彼らのロマンスの行方が、ドギョンではなくてジアンの心の動きで進行したのが個人的には惹きつけられる要素になったのではと思います。男性側ではなく女性側の意志、彼女の発する言葉が切実で視聴者の心に響いたのではないでしょうか。

ジアンの母親の行動って二人の娘の幸せを願う行動だと理解させたいようですが、どう考えてもヘソン家に対する詐欺行為です。ジアンの母親はずっとこの行動に苛まれ猛省はしますが、やってしまったことの代償は、二つの家族にいろいろな変化を起こさせてしまう。でも肝心な問題はヘソン家の母、ドギョンの母の女帝の行動が発端です。結果を恨むより、自分の行動を省みられない財閥家のお嬢様の問題なのに、投げられた石は湖面で波紋を起こすように、思いもしない方向へ動いてしまうのです。
ただ、終章でジスは、連れ去られ置き去りにされた場所が、後で洪水で流されたようです。結果的にはジアンの母親が連れて帰ったことで助かったのです。結果的には最初からジスをヘソン家に戻していたら、ジアンの両親は感謝されたのです。

10話までで、出生の秘密からジアンがヘソン家の娘として生活するところまで描かれました。11話あたりから、ジアンへの気持ちの変化を意識するドギョン。ジアンの社員としての能力の高さを知り、将来の夢を語るジアンに対して自分では考えられない世界を生きる女性として興味を持ったのでしょうか。

自分がヘソンの娘ではないことを打ち明けて生きようとするジアンの心の変化も丁寧に描かれました。ジアンの方がドギョンに好意を最初に感じ始め、それを感じた彼がキスをするという流れが、18話でした。出生の秘密から、今後は本格的なロマンスへと期待をもたせました。

でも21話で、ジアンが自殺未遂をしてしまう。父のこと、家族のこと、ドギョンへの気持ち、きっと疲れ果ててしまった結果なのではないかと。。
この辺りから、父テスの娘への愛情と彼の生き方をジアンは理解し始めましたね。父親って孤独ですから。。
自分がいなくなればという気持ちから立ち直るにはジアンには時間が必要でした。それを優しく見守るヒョク役のイ・テファンさん、素敵でした。

たくましく生きるジアンが自殺するというのは、ドギョンへの愛が強かったということだと感じるのです。彼のいない世界で生きる選択をすれば、彼女の強さならば出来るはずです。そう感じたんですけれど………どうしようもできない彼への愛を。
でもジアンのプライドが、それを許せない。彼の家族への嫌悪感、格差からくる閉塞感。
ジアンのプライドとドギョンへの愛の葛藤が残り30話ずっと続きした。

そんなジアンの心の中まで、ドギョンは理解できない。だってドギョンはノブレス・オブリージュなんですから。
ドギョンはついにジアンに気持ちを伝えますが、ジアンはヘソン家での記憶を全て消し去りたいから自殺未遂をしたことに気がつかない彼に冷たい態度をとります。でも、ドギョンの婚約者の存在を知ったジアンの心は乱れます。まだ彼への気持ちは強かったんですね。

パク・シフさんって上から目線の役柄が多いのですが、でもその表情がいつもほんわかしているんです。「王女の男」の時だけは厳しい表情ばっかりでしたが(笑)
そのほんわかさに優しさと品があるところがいいのですが。今回のドギョンさんも、ジアンに冷たくされてもおおらかさと呑気さを感じてよかった。この辺りが、ソ・ヒョンギョン作家が、彼にラブコールを送った理由ではないかと勝手に思っています。暗い顔してジメジメする男ではなく、どんな時でも品位がある男を。
「検事プリンセス」での役柄と被るな〜って感じました。恋する二人の問題ではなく、親の問題で苦しむヒロインを愛する男….そのヒロインはやっぱり意志の強い女検事…

31話で、ドギョンはヘソン家から身一つで家を出ました。展開が早い。そしてジアンと一緒にシェアハウスで生活します。ここからが本格的なロマンスの始まりですね。洗濯機すら使えないドギョンの世話をしてしまうジアン。もう気持ちを隠し通せなくなったジアンはドギョンに本心を明かします。
ここからがまた厄介。好きだけれども、付き合う気持ちはないということ。ドギョンのその時の表情、きっとこう言う表情が彼の演技力なのかな〜
ドギョンは、彼女の感じている格差が理解できない。多分一生できない。それを埋めて二人が近づくことでしかその壁は乗り越えられないのない。ドギョンはできるけれど、ジアンは、できないから死を選んだのに…..

でもジアンは、彼に本心を明かしたことで本来の姿を取り戻せたようです。以前の強い意志のジアンに。。

「想像癌」初めて聞きました。父テスの病名です。死にたい気持ちが強くて生きる気力がなくなってしまった時、癌のような症状が現れるという病気。「想像妊娠」みたいなものでしょうか。心の病です。
ジアンは父の姿に自分の過去の姿を重ね合わせました。そんなに苦しんでいる父を楽にしてあげたいと。家族も力を合わせて父の回復に勤め始めました。でも医者のミスで本当は「末期の胃がん」だったのです。どうして「想像癌」を出してきたのか。きっと家族が「胃がん」であれば入院させたりして話がテスの病に比重が増してしまうからかな。家族愛を前面に出したいからかな?

44話、1週間の恋愛期間だけと決めたジアンとドギョンの別れのシーンは切なかった。ドギョンはジアンの気持ちを大事にしてヘソン家の人間である以上、これ以上ジアンを惑わせてはいけないと決心したのですが、本心ではないので、なんか切ない。

ジアンはコンテストで入賞して海外で研修ができるようになります。やっと彼女の夢の実現に一歩近づいたのです。
一方ヘソン家では、お家騒動、経営権争いが起こります。ドギョンの母親も父親もノ会長も、ドギョンとジアンの父テスのおかげで、生き延びます。
この騒動で、ヘソン家はやっと人の気持ちが理解出来る兆しが見えてきました。でも人間ってそんなに簡単に変われないから。。
ドギョンの母親、変心も勝ってですね。女帝は変わりません。

最後まで、ヘソン家が一番のドギョンの祖父ノ会長。
ドギョンはヘソン家の孫としての改革を推進します。

ジアンは、
「ドギョンさんが私にした最大の過ちは、私があなたを愛するようにさせたこと。だからあなたを許せない。そして私も許せない。」
ドギョンに私を記憶から消してくれと言われてしまう。呆然とするドギョン。

ヘソン家がソ家にしたこと、ノ会長がジアンの父テスにしたこと、ドギョンの母がジアンやソ家にしたこと、すべて忘れてスッキリして生きていきたいジアン。
祖父ノ会長が父テスを、脅したこと、

ドギョンにも、私のことを綺麗に記憶からなくしてくれと。いつか知らない街で会っても、気がつかないようにと。
無理でしょう。。。

ドギョンの愛は、ヘソン家の孫らしく利己的だったというジアン。ヘソングループのチェ・ドギョンとして受け入れてくれるという驕りがあったというジアン。

でもこのくだりはなんか理解できない。その人の生きて来た時間でその性格も資質も形成されていくでしょうから。ドギョンに言っても仕方がない。彼だけの責任ではないから。
このジアンの告白は、それだけドギョンを愛しているっていうように聞こえるんですけれど………….

最終話は、父テスの死を乗り越えて明るく生きるソ家と分裂してもヘソングループらしく生き抜くドギョンの両親、妹ってまとめました。

ジアンとドギョンはリセットして再スタートの予感を残してハッピーエンディング。
ドギョンの髪型、最終話の髪型、変でした。

ジアンとドギョンはフィンランドで暮らせばいいのに。韓国以外で暮らしたほうが幸せになるのに。

ジアンのドギョンへの愛って、ジアンはドギョンより年下ですが、生活力のある地に足がついている女性が、この愛を貫くみたいな強さを感じました。この愛が自分の癒しでり、強さでもあるというような。。ドギョンは、いい意味での財閥家のおっとりさと優しさのある男です。

ジアンのたくましさとドギョンのおっとりさが、醸し出す素敵なロマンスでしたが、そう感じたのは、ドギョンが最後までナイトだったからでしょう。どんな誹謗的なジアンの言葉も聞いてあげて、見守り続けて、こんな男性いない。ドギョンはジアンが初恋だったと言ってましたね。これも韓ドラっぽい。そう言いながら見続けた52話。

なんか今の韓ドラって、たくましい女性と癒し系の年下の男っていうテーマのロマンスが増えてきたように思えます。強くてたくましい男ではなくて。。。

 

 

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