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王になった男 初々しい愛と権力争いが絶妙なバランスで描かれた素敵な作品

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王になった男  The Crowned Clown 全16話(2019年 韓国tvN)

2012年に公開された「王になった男」イ・ビョンホン主演のリメイク作品です。
でも、王が入れ替わるという設定だけは同じようですが、ドラマの内容は大幅に変更されたようです。
元の映画を見ていないのでよくわかりませんが…..

このドラマの王イ・ホンは、廃位された有名な光海君がモデルになっていますが、架空の時代設定にして、歴史的な背景に縛られない自由な史劇として成立させています。
こういう史劇設定なので、結末は予想できない。

中殿とのロマンスとドロドロとした政治の権力争いが軸になって対比させて描いています。
そのドロドロ感が、今の韓国情勢を感じてしまい、リタイアしかけました。

そういえばリタイアした「ヘチ」チョン・イル主演の時代史劇。どこからが本格時代史劇なのか、フィクション史劇なのか?
今のドラマは全てフィクションだと思うから、どこにフォーカスするか?
視聴者にどこまで受け入られて拍手してもらうかでしょう。
韓ドラは、「夢を与えてくれて、その時間にそのドラマに集中できるか」でしょう。
そんな風に考えているので、見ていて疲れるのはリタイアです。

演出監督が、あの大好きな「ラストスキャンダル」「運命のように君を愛している」の演出と知り、ドラマを視聴完了できました。
音楽といい、映像といい女性らしい、大らかさと柔らかさと凛とした強さを感じたドラマだったのでどんな演出家なのかしらと調べたら、「え〜‼️」でした。
女性の心を掴むイメージ、音楽を心得ていましたからね。

道化師のハソンと王イ・ホンの一人二役を演じたヨ・ジング君、「太陽を抱く月」で初めて見た時、すごい子役さんだとびっくりしたことや、キム・スヒョンssiに引き継がれた時には、イメージが違いすぎて戸惑ったことを覚えています。そのヨ・ジング君の史劇です。王様の装束がよく似合いますね。

演出:キム・ヒウォン ラストスキャンダル・運命のように君を愛している・幸せのレシピ・カネの花・華麗なる誘惑

脚本:キム・ソンドク/シン・ハウン

キャスト

ヨ・ジング=ハソン/イ・ホン

キム・サンギョン=都承旨イ・ギュ

イ・セヨン=中殿ユ・ソヨン

チャン・グァン=チョ内官
ユン・ジョンソク=チャン武官
クォン・ヘヒョ=左議政シン・チス
チョン・ヘヨン=妓女ウンシム

あらすじ……………

朝鮮では最も高い地位が君主ならば、最も卑しい身分だった道化役者だったそうです。獣殺しの白丁より下の身分だったとか???

そんな卑しい身分の道化者が高貴な君主と入れ替わる設定???

朝鮮時代は、どのドラマを見ても両班と民の身分の差の厳格さが露骨に表現されます。君主・王はその血の系統が何より重要であり、君主としての高い教養と資質を要求されます。道化者が真似などして、君主に成り変わることができるのか?

道化者ハソンが、君主イ・ホンに成りすまし、中殿ソヨンと出会い、愛してしまう。本当の君主になり、大切な人と国を守る為に、王座を占有しようとする反正勢力と、醜い血なまぐさい戦闘を繰り広げます。

ハソンは頭の切れる男でした。王の身代わりにされ、その王座を奪い取ろうとする賤しい権力者たちと戦う中で、ハソンは悟るのです。

君主とは、全てを手に入れたように見えるが、自分の周りの人間を誰も信用出来ない孤独な地位なのだと。王座を守るためには肉親も顧みない残酷な争いを永遠に続けなければならないのだと。本当の君主は権力を振り回し権力と財力に執着するのではなく、民のために行動を起こさなければならない。良い君主とは、民を笑わせ、幸せにすることで、それはハソンの生き方と同じであると。

中殿に一目惚れしたハソン、中殿ソヨンは、別人とは知らずに王の身代わりハソンを愛するようになります。以前の王は、権力で中殿を扱う寂しい男でした。でもハソンは、「共に語り合う男、彼女の望む事を共に考えながら行動しようとする男」そんなハソンを愛し、彼が身代わりと知った時も、王としてこの国と民を守ろうとする姿に触れて、彼女はハソンを守ることに決めたのでした。

「偽物の王」と、忠臣のイ・ギュ、チョ内官も知りながら、ハソンの人間らしい聡明さに触れて、心を寄せて忠心を捧げていく流れが丁寧に描かれています。
この場面、王を信頼いたしますと忠心を捧げた場面です。

チョ内官、「王様は太陽のようだった」と去るハソンに対して別れを惜しみました。

みんなに愛された道化者ハソンと賤しい権力者との戦いの物語でした。

その「偽物の王」と「本物の王」二役を見事に演じきったヨ・ジング君の評価は上がるでしょうね。

最初にも書きました。視聴していて、気持ちが暗くなってしまったと。
それを救ってくれたのは、あのクラシックの名曲の数々。

シューベルトのセレナーデ、
クラシックのメロディーで、心情表現と格調高さを強調させ、それに合わせた映像美のある世界観を表現させたのでしょうね。

中殿ソヨンのテーマ曲だったような?
ハソンとソヨンのぎこちない愛を象徴しているようなメロディー。

中殿ソヨン役のイ・セヨンさん、とっても綺麗で上品な感じがぴったりでした。子役出身なんですね。
一瞬、「ロミオとジュリエット」を思い出してしまいました。そんな初々しい二人の愛。
真実を知ったソヨンの悲しみ、ハソンの切ない愛を深く感じさせてくれました。

それと対比するかのような苦々しいあの権力と大義名分に執着するチン・シスと両班たち。

ロマンスと政治権力争いをじっくりと描いたのが、今までの「雲に描いた月明かり」「太陽を抱く月」「100日の郎君様」などとは違うようです。

あの気迫迫るヨ・ジング君のお顔は凄かった。

第8話で、本物の王イ・ホンを都承旨イ・ギュが見殺しにしてしまいます。心を患いいつ殺されるかも分からない怯えから狂気に走る王、恐怖心からそれを忘れるために麻薬に走る王、その王を国を憂うイ・ギュが、国の為に見殺しにしてしまいます。その流れにはびっくり!!!

ハソンの性格の明るさ、一途さ、聡明さが、シリアスな王朝の権力争いを和ませてくれました。

ハソンとソヨンの行き先は……..とても素敵なエンディングだった。
二人がお互いを信頼し、愛し、生身の肉体が存在しなくてもいつか会えると信じて生きていく姿に。

最終話に向かう反転に次ぐ反転、痛快さと余韻を残すシーンの数々でした。

ハソンがどう生きたかが問題ではなく、ハソンの「偽物の王」として生き抜いた時間が輝くドラマ。それでいいのではないでしょうか。

チャン・ヒョクさんが先代の王役で特別出演されていましたね。重みを感じるシーンでした。

都承旨イ・ギュ役のキム・サンギョンさん、この方なんか大好きなんですよね。個人的にはものすごく男の可愛さと色気を感じる方なんです。かっこ悪い役でもなんか可愛くて。
「国家が呼ぶ」で拝見してからです。「家族なのにどうして」でのムン常務も可愛かった(✿ฺ◕ฺ‿◕ฺ)ウフッ♥

ハソンを王の身代わりに据えた男、都承旨イ・ギュ。彼もハソンの人間性に触れて人としてハソンに忠義心を持つようになります。
しかし、国を憂う彼の最後のシーンは、うるっときました。

もう一人のハソンを支えたチョ内官、彼の静かな微笑みがハソンを支えましたね。

最後に憎き悪役、シン・ヘス。演じたクォン・ヘヒョさんは、本当に憎たらしかった。韓ドラらしく絶対的な悪者を、あの悪役顔を見せてくれました。

誇るものが血筋しかない悪役の大妃役、チョン・ヨンナムさん、ヒステリー顔、怒り狂う形相が凄まじくて引いてしまいました。

王の座をめぐる権力争いとハソンとソヨンの初々しい愛、素敵な音源、余韻を残す映像美、バランスのとれた素敵な作品でした。

でも本当に韓ドラの俳優さんの演技力が素晴らしい。素晴らしい衣装やバックに負けない存在感を奏でる俳優陣に拍手です!!

ヨ・ジング君の現代劇は見たことがないので、IUさんとのドラマ「ホテル・デルーナ」が早く日本でオンエアにならないかと楽しみにしています。

でも彼は史劇のヒーローが一番にお似合いのような気がします。

 

 

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