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アルハンブラ宮殿の思い出 〜愛だけが魔法の世界

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アルハンブラ宮殿の思い出 Memories of the Alhambra 全16話(2018年 tvN)

拡張現実の世界での人間の何を描きたかったのか?
AIと人間の境界は、予測不可能な感情なのに、このドラマはそれをバグだと片付けた。

スペインのグラナダにビジネスで訪れた投資会社ジェイワン代表のユ・ジヌ(ヒョンビン)が元ギタリストのチョン・ヒジュ(パク・シネ)が運営する古いホステルに泊まり、奇妙な事件に巻き込まれるストーリーを描くサスペンスロマンスドラマ。(Kstyleより)


◉脚本:ソン・ジェジュン(イニョン王妃の男・ナイン・W〜君と僕の世界)
◉演出:アン・ギルホ(秘密の森)
キャスト
ヒョンビン(ユ・ジヌ)39歳 IT投資会社ジェイワン代表、工学博士
パク・シネ(チョン・ヒジュ)27歳、スペイン、グラナダの「ボニータホステル」主人
チャニョル(チョン・セジュ)18歳、プログラマー
パク・フン(チャ・ヒョンシク)39歳、IT企業「ニューワード」代表、工学博士
キム・ウィソン(チャ・ビョンジュン)68歳、韓国大学経営学科客員教授、ヒョンソクの父
イ・スンジェ(パク・ソンホ)43歳、ジェイワン・ホールディングスの経営戦略理事、チヌの同僚
ミン・ジヌン(ソ・ジョンフン)33歳、チヌの秘書


3年ぶりのヒョンビンのドラマ!

映像・CG効果・音楽・キャスト…がすごいのに、ドラマの流れがどうにもこうにもって感じで、やっぱりこの脚本家さん好きにはなれない。
ヒョンビンの演技力にこのAR拡張現実がテーマのドラマに彼が参加することに拍手できる人にはきっと素晴らしいドラマだったと思う。

ヒョンビンの俳優としてのポテンシャルの素晴らしさを堪能できるドラマでした。

☆5にしたのは、もちろんヒョンビンが素敵だったことと、AIの発展、進化に期待があることです。

格闘ゲームのARゲーム、ID:ユ・ジヌを柔軟な身体と瞬発力でサイボーグのように戦った男を。
現実の世界で生きることに疲弊しているユ・ジヌを。

それにつきます。多分、ヒョンビンとパク・シネさんでなければ、見なかった。この脚本家「W 〜君と僕の世界」は個人的には面白くなく馬鹿馬鹿しいドラマだと感じていたから。


tvNの「アルハンブラ宮殿の思い出」のHPに書かれている概略では….

「充分に発達した科学技術は魔法と区別がつかない」 ーSF作家 アーサー・チャールズ・クラークの名言

人間の探究心と好奇心、未知への執念が、魔法と科学を誕生させ、アナログの時代にも、デジタル時代にもそれ変わらない。
グラナダという中世を彷彿とさせる場所で繰り広げられたARゲームが魔法のようだと言いたいのだろうか。

テクノロジー・化学技術と魔法の区別、それがこのドラマのテーマかしら?

現代で魔法としか思えない現象は、今のテクノロジーの世界では説明できてしまうのではないだろうか?
トッケビではないですが、500年前の人間がタイムマシンで現代に来たら、すべて魔法のように見えるでしょう。今の人間が500年後まで凍結されて生き返ったら、魔法という言葉ではなく、テクノロジーの進歩だと思うでしょうから。

拡張現実の世界は確かにテクノロジーの発展であり進化でしょう。
でもそれを駆使するのが人間であったら、テクノロジーの発展に関与するのは人間でしょう。
その人間には、熱き血の流れる身体と感情という得体の知れない波動が流れている。

ゲームの世界、その世界に人間を参加させると、感情というバグが発生する。AIロボットが参加すれば、テクノジーで操れる。でも人間であるのならば、その制御不能な部分がバグとして扱われることがなんともかなしいかな……
ゲーム中、バグとして削除される人間の感情、プログラムは人間の感情を制御できない。この問題は解決できるのか?。

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とにかくゲームの経験値を上げること、レベルアップしていくジヌを見ることが楽しいのか?
それに血なまこになって戦うジヌを、見るのは苦痛でしかない。
ただただ、ゲームクリアして現実に戻ってくるジヌを待つだけの時間を費やさせたこのドラマ???

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ARの技法・マジックショーばかりに目がとらわれますが、そのARもまだまだです。
拡張現実の世界、プロジェクトマッピングなんかわかりやすい。

このドラマのARは、自分が見ている視野にCG映像が映し出されるようなレンズを装着すると、現実世界に新たな情報が追加されるというものです。それはすなわち、人間の視覚を拡張しているわけです。視覚が拡張し、聴覚も拡張し、触覚も拡張していました。(でも現代のテクノロジーではまだその五感を脳にまで伝達できるウェアラブル機器はまだないと思うけれども。身体にチップでも埋め込まない乖離は….)

これってつまり人間拡張の先端テクノロジーなんです。拡張現実の世界をも通り越していたのです。
魔法ではなく、最先端のテクノロジーです。これをグラナダという中世を彷彿とさせる場所だったので、魔法のようにも感じさせたかったのでしょう。

そこに無理があった。

でも凄惨な戦いばかりのシーンで、ファンタジーさはなく、それよりヒジュを除いたジヌの周りの人間たちのカルマを感じる。
「アルハンブラ宮殿の思い出」ギターが奏でる叙情的音楽から連想させられるのは、やはりロマンスです。
それなのに主人公ジヌは、グラナダの普通に暮らしている人がいる場所で、剣を振り回して闘い、友人が死んでしまいます。ARの世界はクレイジー….
でも最後まで視聴したというのは、ジヌの悲しさをどう描ききるのか、この世界で…と思い続けたのですが、残念の一言です。

後半のクエストを終了させた?成功させたジヌを襲った悲劇、それは人間としての悲しさをARの世界を抜け出たジヌが感じたのに、それを描くことより、ARの世界の魔法という言葉で終わらせたのは、この脚本家の力量を疑ってしまう。
「天国の鍵」「聖堂」「イエスの十字架」とジヌは、自分のカルマを贖罪しようとしたのに。
「天国の鍵」は「地獄への鍵」でもあったジヌの悲しみ。ゲームのバグになってしまったジヌ、そしてゲームのバグとして幻影として生きる3人の胸を突き刺し、バグを削除するジヌ。
もう訳のわからない展開です。

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ヒョンシクのジヌへの執着心が、このゲームのバグを生み出したのでは?
どのような執着心かは、ジヌへの劣等感の裏返しかな?ジヌの元妻と不倫して再婚しても彼への優越感には繋がらなかった。
父親のあのキム・ウィソン演ずる教授も腹黒いエゴの塊。
元妻は「いつも自分を弁護することばかり言う女」二度目の妻は「泣き顔すら演ずることができる」心のない金にしか執着心のない女。
でもジヌってそんな女としか関われない人生を、親友ヒョンシクもその父親もこんな人間たちとしか繋がれない寂しい人生だったのだと推測できる。

そう言うジヌをヒョンビンはあの切ない表情で存分に演じたとは思いますが。

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ARの世界を描くらしいと聞いた時から、甘いラブロマンスドラマではないと思っていましたが、パク・シネちゃんキャスティングしたのだからあるよね〜と期待を持ちながら…..

現実の世界では、轟然たる雷鳴とともに血にまみれた親友ヒョンシクが、ジヌがゲームの世界で闘って殺したかもしれない友が、ジヌを追いかけ襲ってくる。これは亡霊なのか。彷徨う霊魂なのか?
ゲームと現実の境界がなくなってしまったジヌは精神のバランスが崩壊し始める。そんな時にヒジュの優しさに触れる。ARの世界でも、現実の世界でもシニカルで野心家なジヌ。でもヒジュの前では穏やかな優しい表情になるヒョンビン。二人のロマンスというより、ジヌのヒジュを見つめる大人の落ち着いた優しい眼差しにうっとりでした。

もうたまりません。低音で響くヒョンビンのナレーション。
これしかこのドラマには説得力がないのです。

この魔法の世界、ARの世界での戦闘は、ジヌにとっては現実を忘れさせてくれる世界だったのかもしれない。だからのめり込んでいった。現実の世界は、別れた妻二人の問題、会社の問題、ゲーム開発の問題、親友の問題などあるからな〜。

ジヌがどうしてこのARのゲームの世界にのめり込んでいったのか。逃げ込んでいったのか。
なぜにヒジュに想いを寄せたのか。
ヒジュの弟セジュをどうして助け出そうとしたのか。

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ジヌは、ARの世界のエンマに魅せられた。そしてそのエンマに胸を刺される。バグを消去するために。(勝手に解釈すると、エンマへの感情を削除して現実の世界のヒョジュを愛しなさという意味なのかも取れましたが、最終章はやはりゲームの世界に佇むジヌでした?)

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パク・シネ演ずるヒジュは、前半ではしっかり者で働き者の強く生きる女性でした。

でもジヌがあの階段から転げ落ちた時、幻影と戦い勢い余って転げ落ちた時、ヒジュの人生も同じように転がり始めました。
ジヌへの想いを感じてからは、なんか常にウルウルさせた目で、ジヌを追いかけるだけの女性に、そして待ち続ける女性に。
ヒジュの涙は、ジヌを現実の世界だと信頼させるための手段だったのか?

このドラマのヒジュは、現実の世界だとジヌを信用させる、そして安心させるヒロインだったとしか思えない。だからこの二人のロマンスはには嵌れない。
でもパク・シネさんでなかれば、あのエンマの雰囲気は出せなかったのかも….

エンマは拡張現実のヒロイン、ヒジュは現実のヒロインとしてのジヌとの繋がりという設定。

このゲームの開発者、ヒジュの弟のセジュ、この彼は最後に現実の世界に戻り、ジヌの会社で働くことになる。この流れもなんだか。ジヌを含め4人の人間が削除、この世から抹殺されたゲームの開発者を、なぜに4人の人間が削除されたということを理解できないような若者に……

脚本家のソン・ジェジョンが描く世界、「イニョン王妃の男」「ナイン」「W」と「アルハンブラ宮殿の思い出」と境界をを超える世界を描いてます。
リアルな現実とアニメの世界、現実と拡張現実の世界….

人間の魂は、どんな境界があろうとも宇宙に存在する。その魂が人間の肉体をかりて今に存在する。魂の世界から見れば境界なんてないのだから。

そんなことを感じたドラマです。

どんなに世界がテクノジーで変化、発展しても、人間の感情を操れない。

人間の感情を操れるのは、「愛の魔法」

ヒジュの愛は魔法だった。

それを描くために、この16話があったのか?。

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ジヌがヒジュに告げた「僕を信じるな」という愛の裏返しの言葉。
ジヌが、今の現実を正常に戻すために、闘い続けているのだと信じてほしいという切実な想い。
その言葉を信じて待つヒジュ。

こんなシーンに期待を持って見続けた方には、非現実的な最終章でした。
「アルハンブラ宮殿の思い出」なんて、ドラマのタイトルからして騙していますよ。

でもでも、ヒョンビンさんの大人の男の魅力を存分に堪能できたので、文句はありません。ヒョンビンって未知の世界に俳優として参加することに、価値を求めているのかな?

なんだかんだと思いながらも16話、しっかり視聴しました。ゲームの世界だからジヌはいつかはまともになって戻ってくると信じながら…..

 

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