普通の恋愛 Just Ordinary Love 全4話 (2012年 韓国KBS)☆☆☆☆
気になっていたドラマのひとつです。やっと年末に再放送があったので見ることができました。
2017年10月から年末まで気になる韓ドラなし。
見ても感想書く気にもならないドラマばかりでした。
「応答せよ1988」「普通の恋愛」「未生」と見ることができなかった韓ドラをゆっくり見れました。
演出 キム・ジノン
脚本 イ·ヒョンジュ
出演者
ユ・ダイン(キム・ユネ:観光案内所職員)
ヨン・ウジン(ハン・ジェグァン/カメラマン)
キム・ミギョン(シン女史/ジェグァンの母)
イ・ジュシル(ユネの祖母)
イ・ソンミン(キム・ジュピョン:ユネの父)
とっても地味だけれど、なんかジーンときてしまう構成のドラマ。セリフやエピローグで登場人物の感情を表現することよりも
「手の動き」「窓から差し込む光」「コイン」などで表現していくドラマ。ドラマの舞台となった全州地域も、主人公の心情を表すような雰囲気です。
あらすじ
ひっそりと祖母と共に暮らしている観光案内所職員のユネ(25)、彼女の時間は、18歳の時から止まっている。
それは、彼女の父ジュピョンが、7年前殺人事件の容疑者として指名手配され、逃げ回っているからです。殺人犯の親を持つ娘が、無実を信じながら、人々から隠れるように息を潜めて生きています。
そんな中、ある日彼女の前に見ず知らずの男ジェグァン(27)が現れる。
ジェグァンは、後ろ姿しか撮影しないカメラマン。人と正面から向き合うのを避けている男のようで、ホテルで寝袋で寝るという行為からも何か心に傷を持っている男。
ジェグァンは7年前から彼女を知っていたのです。
ジェグァンの兄が7年前の殺人事件の被害者だったのです。
でもジェグァンが彼女の前に現れた理由は、彼女をずっと忘れられなかったから。
7年前に彼女が悲しみのあまり、川に飛び込みんだ行動が目に焼き付いていたからです。ジェグァンは、ユネの心の傷が気になり忘れられなかったのです。
ユネと ジェグァン、心に傷を持った寂しい二人が、偶然なのか必然なのか出会うことからこのドラマは始まります。
最初から最後まで、このドラマのトーンはずっと同じでした。そして淡々と描かれる二人の感情のドラマでした。
この手のドラマは分かりにくいけれど、なんか心にジーンと響く。
恋愛ドラマはセリフよりもやはり表情、雰囲気を感じさせないとドラマに入り込めません。
「オ・ヘヨン」「ケ・セラ・セラ」「恋愛の発見」エリックさん主演のドラマですが、全て視聴してますが、どうもハマれないんですよ。エリックさんの役柄のせいなのか、相手役の女優さんの役柄がみんな喚き型なのです。なのでどうもダメ。
「三食ご飯」のエリックさん、拝見しているとなんとなくわかります。
「普通の恋愛」という題名もなんかひっかる題名でした。普通というのは一体どういう恋愛なのか?
殺人者と被害者の家族のドラマ、「愛に狂う」「刑事プリンセス」が浮かびます。
「復讐」と「愛情」がそのドラマのコンセプト。
その「復讐」ですが、このジェグァンの母親も徹底的に殺人者の父や家族のユネを許しません。韓ドラでの母親の狂乱ぶりには慣れていますが、見るたびに幻滅してしまう。
母親役のキム・ミギョンさん、バラエティ豊かに母親役演じられていらっしゃいます。でも子供を守り通そうとする迫力のある母親役です。それがいいとか悪いとかではなく、母親を熱演されています。今回の母親役も子供を守ろうとするそれも兄の尊厳を守ろうとする母親役ですが、でも家族だからといって弟をないがしろにするのは、やはり母親のエゴです。そのエゴのためにジェグァンは、ずっと苦しんできたのですから。
ジェグァンが前を向いて生きていけないのかは、この母親の兄への過剰な愛のために、ずっと彼は影のように生きてきたから。兄が殺された時のあの母の言葉には絶句します。これは母親の愛情ではなく執着です。そんな家庭環境の中で生きてきたジュグァン、心を閉ざして自分の世界だけを見て生きてきたのでしょう。
ユネもずっといつか父の殺人者の汚名を排除できることを信じて生きています。心を閉ざすことで自分の世界に閉じこもることで精神の安定をかろうじて保つ生き方をしていたのです。
でも父はやはり殺人を犯していたのです。
そこでジェグァン兄の真実の姿が見えた時、その真実を伏せたいためにジェグァンの母親は、大きな傷をジェグァンにも与えてしまった。真実ではなく、自分の信じたい真実の中で彼女は生きて行きたかったのです。
ジェグァンもユネの父が兄を殺したのではないと思いたかった。
ユネも父は事故を起こしたと思っていたかった。でも父の弱さを見せつけられ、その弱さのためにユネは7年間生き地獄を味わってきたのです。
このドラマは隠された真実が明白になった時に、その時に今までのその人に生きザマも大きく影響すると感じさせます。
ユネは、心を閉ざしてはいましたが、逃げるような生き方はしていなかった。
ユネがやっぱりこの7年間で強くなっている。生き抜くとはこういうことだと思いました。
ジュグァンの方は、なんか心の闇が深そうな感じですね。
事件の解決で母親の真実の姿が見えてきて少しは母親の気持ちも理解はできたようにも見えますが、新たな気持で生きていけるようにはならなかった。
ユネから「あなたをふった」と言われて、すがりたいような気になっていたジェグァン。男の方が弱い。
ただ、二人の恋愛は、終わりが見えてしまった。
お互いを必要としていたのに、決して手を握り合うこともなく、すれ違ってしまった二人。
でもジェグァンと出会うことで、ユネは優しさも、思いやりも、温かさも感ずることができた。
ユネと出会うことで、ジェグァンはひっそりと生きていても正面を見て生き続けている彼女の強さを知り、心を動かされた。
普通の環境下にない二人が惹かれ合ったが、世の中そんなに甘くはない。でも真実がわかった時に二人には新しい未来が開けてきた。そんなドラマ。
なんかこの脚本すごくいいです。ずっと温かな気持ちで見ていられました。母親の狂気もなんか哀れで。
人間って弱いから何かにしがみつきたい。この二人もしがみつきたかった。お互いを温かい気持ちで癒しながら。。。
でも現実は悲しくて厳しい。
サッドエンドかもしれないけれど、生きる力をお互いに見出した二人、若い二人なのだから、前を向いて生き抜いて欲しい。
個人的にはこういうエンディングいいな〜
二人の間の経過する時間で、もしかしたら。。。。
でも死ぬまで綺麗なままの忘れられない時間になったのだから。。。