サイコだけど大丈夫 It’s Okay to Not Be Okay EP1 プロローグのアニメーション
キム・スヒョンさんの5年ぶりのドラマ。あの「星から来たあなた」から何年経ったのかしら。そんな期待感を満足させてくれるオープンニングでした。宇宙人ではないですが、心を閉じてしまって頑なに、でも精一杯生きている男、ムン・ガンテを。
ヒロインは、ソ・イェジさん、美しくスタイルの綺麗な女優さんですね。初めて拝見しました。
ミステリアスな雰囲気を醸し出すドラマが始まりました。あまりにクオリティの高い演出やアニメーション、書き留めたくなりました。
このドラマが伝えたいメッセージが、ドーンと心に響きます。童話的なイメージを与えながら、人間の心理とストーリーを描き出さしたアニメーションとCGの世界の見事さに加え、素晴らしい俳優陣の演技が素晴らしいハーモニーを奏でています。一体感のあるドラマって久しぶりです。パク・シンウ監督って素晴らしい。「ボーイフレンド」「ジキルとハイドと私」も映像がとっても素敵でしたから。
反社会的な性格を持った童話作家(サイコっぽい)、発する言葉と行動は常識の枠を超えているムニョンと自閉スペクトラム症の兄を持ち、生活に疲れ愛を信じない精神病棟保護司ガンテが、お互いの内面を暴きあう中で、深い闇の中から抜け出し、お互いに「大丈夫だ」と励ましあいながら成長する姿を想像してしまう。だから「サイコだけど大丈夫だ」という題名に繋がるのかと。面白い題名だと思いましたが、ドンピシャのタイトルですね。
傷ついた者同士が、「大丈夫だ」と慰め合う過程を通じて色々なメッセージを投げかけてくるドラマ。
大丈夫、愛だ
EP1のタイトル「悪夢を食べて育った少年」
16エピソードに全て童話を連想させるタイトルが付くようですね。
コ・ムニョンが書いた残酷童話の世界は、このドラマが描こうとする物語を暗示しています。
チョ·ヨン作家は、童話を重要素材に選んだ理由について、ドラマの中でコ·ムニョンが書く童話がこのドラマを通じて伝えたいメッセージだと。少し違う人、心が痛む人、大人なのに成長できなかった人たちに、「大丈夫だと、愛が必要だと、もう少し温かく眺めてほしい」という気持ちをムニョンが書く童話に込めました。ドラマの中のキャラクターたちがこの童話を通じて成長するように、多くの人々にとって、少しでも慰めになればという思いが込められているそうです。
童話の世界なのか、ファンタジーというよりもなんとも言えないきみの悪さと美しさを感じた第1話でした。
「化け物と呼ばれた少女」は、「美しい魔女」になった。防御的で、閉鎖的な生き方をしたコ・ムニョン
自閉スペクトラム症の兄を持った少年は、亡き母から「兄を保護し、守る存在」として生きろと強要されて育った。兄さえいなければと思いながらも、決して兄を捨て去る事はできずに、辛抱強く耐えて生きているムン・ガンテ、でも彼の人生はないにも等しい。
オープニングのプロローグと、ラストの回想シーンと繋がる演出、その物語を読み聞かせるソ・イェジさんの低音だけれど響く声に圧倒されました。
このドラマの童話を実際に描いたのは、コンセプトアーティスト、チャムサン氏です。「ボーイフレンド」の時に検索して知ったのですが、今回のドラマにはぴったりの絵ですね。「ボーイフレンド」の絵は、温かくて華やかでしたが、同じアーティストがこんな残酷童話の絵を。
コ・ムニョンのイメージ
ダークだけれどなんかとっても愛らしい魅力のある少女を。
ムン・ガンテのイメージ
まだ幼いのに、悲しい目をした懸命に家族のために生きている少年を。
このドラマの始まりは…….
昔々、奥深い森の城で美しい少女が1人で住んでいました。
いつも孤独で退屈していた少女は、ある日、一緒に遊ぶ友達を見つけにお城の外に出ました。
いくら素敵な贈り物をしても、誰も彼女を受け入れてくれませんでした。
後になってその理由を知った少女。
「死の影を引き連れる怪物」人々は少女をそう呼んでいたのです。
ひどく腹が立った少女は、怒りを晴らすために、釣り針を拾い、魚を釣り上げ、その魚を踏み殺す。
何度も何度も繰り返す少女。
するとそのうちに魚ではなくある少年が釣れてしまいました。
魚と同じように少年を踏みつける少女。ところがそのお陰で息を吹き返した少年。
少年を救い上げたその日以来、少年はいつも彼女に付き纏った。
すると今までおぞましい死の影たちが消え去りました。夜でも昼でも。山でも野原でも。少女の後ろを。
晴れたある日、少女が訪ねました。
お前はいつも私のそばにいてくれるのでしょう?
もちろん僕は逃げたりしないよ。
これでも……
蝶の羽を引き裂く少女の姿を見て少年は逃げてしまいます。
また1人になった少女の側に死の影が再び現れて囁きました。
お前の側には誰も寄り付かない。
なぜならお前は怪物だから。
その事実を絶対に忘れるな。
わかったか。
はいお母さん。
ラストでガンテとムニョンの出会いが描かれます。
氷が張った池に落ちたガンテを、助けるかどうするか花弁占いをするムニョン。
花弁占いの結果は?でもガンテを助けたムニョン。
でもガンテはそんなムニョンに惚れてしまった。
その日以来、ガンテはムニョンの後ろを付け回した。
ある日、あの少女と同じように、ガンテの目の前で、蝶を引き裂き、これでも私が好き?と尋ねるムニョン。
ムニョンの足元には、無数の引き裂かれた蝶が。
逃げ去るガンテ。
エピローグ<悪夢を食べて育った少年>
「悪夢を食べて育った少年」は毎晩悪夢を見ていた少年が悪い記憶を消したにもかかわらず幸せになれなかった話です。
童話の中の魔女は少年に「痛くて苦しかった記憶、悲しく後悔した記憶、人を傷つけ、また傷ついた記憶、捨てられて振り返った記憶…..」
「そんな記憶を胸の片隅に抱いて生きていく者だけが、もっと強くなり、熱くなり、もっと柔軟になることができるでしょう。」
「幸せは、まさにそのような者だけが勝ち取るものです。だから忘れないでね。忘れずに勝ち抜いてください。勝てなければ君は魂が育たない子供にすぎない」と話します。
過去の傷と痛みに打ち勝つことができなければ、真の成長を遂げることができないというのです。
これは幼い頃、親から虐待を受けたムニョンの固い誓いであり、自分への慰めでもあります。
「悪魔を食べて育った少年」を読むガンテ。コ・ムニョンとの劇的な出会いから、想像を超えたムニョンの行動と言葉が、この童話を読んで彼女に近づき始めた瞬間。
これを書いている時点で、8話まで視聴終了しているのですが、やはりEP1に戻って来ます。韓ドラは、最初が肝心です。