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5月の青春  青春というにはあまりにも悲惨でした。

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5月の青春 Youth of May 全12話(2021年 KBS2)

1980年の5月、春の光州、若者たちが、光州事件に巻き込まれながらもそれぞれその時をどう生きたのか。
それぞれの運命に向かって熱く走る平凡な若者たちの愛と青春を描いたヒューマンメロドラマ。

そこには、運命のように愛するようになってしまったヒテ(イ・ドヒョン)とミョンヒ(コ・ミンシ)がいた。その愛は、切なくてはかなかった。1980年代のレトロな雰囲気を醸し出しながら、唐突に終わってしまった二人の恋を、懐かしい曲とOSTを織り混ぜて、とても熱く衝撃的なドラマでした。

「光州事件」は民主化運動したが、「国家暴力」で、たくさんの死傷者がでた「韓国のタブー」的な問題を扱っていると思います。「実際にあった歴史」を背景に描くこのドラマも、例外ではないでしょう。
このドラマは、民主化運動が、高まり歴史的な変革の時代に、普通の若者たちは何を考え、何を思い、何を信じて生き抜いたのかというのがポイントだと思いました。この光州事件に巻き込まれた民主化運動の闘士でもない普通の人の苦悩と生き様を描いたドラマでした。こういう政治的な事件を背景に、2人の恋の行く末を暗示させながら、本質に突っ込むドラマを制作する韓国ドラマの凄さをまた見てしまいました。

光州事件についてちょっと….

1973年に金大中拉致事件というのが東京のホテルで発生し、金大中氏は韓国KCIAに連れ去られた。その事件は今でも頭の片隅にありますが、日本にいる政治家も拉致して連れ去るのかと驚いたことを覚えています。金大中氏は、民主化運動を率いていたからです。彼の度重なる逮捕、死刑判決、暗殺未遂と時の韓国政権全斗煥軍事政権は、非業なやり方で彼を攻め続けました。この金大中氏と政治家26人を内乱陰謀罪の疑いで逮捕したことに光州事件は端を発しています。「金大中氏を釈放せよ」
金大中氏と民主化運動が活発な光州を押さえ込まなければ政権が揺らぐと考えたのでしょう。
金大中氏は地元の全羅道出身でした。
軍人たちの政権掌握のたくらみに反対し、自由民主主義の憲政体制回復を求める市民たちのデモが全国的に広がった。このデモは光州で絶頂を迎え、5・18民主化運動につながったのです。
5月27日、戒厳軍は市内を制圧した。光州市内の電話がこの日まで通じなくなり、メディアも情報統制されたため、光州市内で何が起きていたのかの真相は、長く明らかになることはなかった。「5.18記念財団」によれば、認定された死者は154人、行方不明者70人、負傷者1628人に上る。

ドラマの概要

演出: ソン・ミニョプ 「ドクタープリズナー」
脚本: イ・ガン 「スパイ」
原作: キム・ヘウォン童話『5月のかけっこ』
この童話の主人公は、全羅南道代表の陸上選手に選ばれた小学生で、彼が体験した5・18民主化運動について書かれた作品のようです。
OSTは、全て耳障りのいい音源でしたが、キム・ボムスの「5月の冬」がよかった。落ち着いたレトロな雰囲気でジーンと響きました。



こんな場面からドラマは始まりました…..

2021年のある日、光州の外郭道路工事現場で身元不明の遺骨が発掘される。この白骨死体は誰なのか?
そして41年前の1980年の春、民主化運動する若者の熱気で溢れる光州へ

前半は、ヒテとミョンヒの恋愛関係になるまでを、春の5月のイメージを背景に描かれました。


ヒテとミョンヒの、「代理見合い」で出会い、その後それがバレたけれど、ヒテはミョンヒと付き合う為に、色々苦労したりびっくりしたりするという二人の恋愛に焦点が置かれていますが、後半は、光州事件が起こり、二人はその渦中に巻き込まれ、戦う若者の姿やその想い、家族への愛と、揺れ動くながらも立ち向かう力強い姿が描かれています。

CAST

ファン・ヒテ▶︎イ・ドヒョン

未婚の母の息子への偏見を壊すため毎年班長と学年1位を維持し続け、ソウル大学医学部へは首席で入学した。過去のある事件がきっかけで医師としての人生を迷っている。現在は卒業せずに休学中。
父ファン・ギナム(オ・マンソク)、軍政権の中、保安部で働き、出世のためなら、家族も見捨てる男。ヒテの母親も見捨てた。ヒテは、婚外子として、父に利用されてることを、黙認しながら生きてきた。それにしてもオ・マンソクssiは、憎たらしい横暴ないや〜な男ばかり。少々飽きてきた。悪人顔で。

大学生を熱くした民主化運動の熱気とは関係なく、ヒテは、帰郷のため光州に戻ってきた。

そこでヒテは友人であるイ・スリョンの代打としてフラれるためにお見合いにやって来たミョンヒと会うことになるだが…。

キム・ミョンヒ▶︎コ・ミンシ

ドイツへ留学するために働きずめの看護師。奨学金の目処が付き、後はフライトチケット代のために代理お見合いを承諾する。

このドラマでは、ミョンヒが、輝いていた。貧しいけれど、健気に生きる強くて逞しい看護師とヒテの前では、可愛らしい天使のような笑顔と彼を見守る母のような笑顔が、眩しかった。

そして看護師としても、人間としてもこの逆境にめげずに大きく羽ばたこうとする姿、もがきながらも前に進む姿、今の環境の中でも、明日を信じて突き進む姿に目が熱くなりました。お嬢様のスリョンより、逞しい戦士だった。ヒテは、彼女のそういう姿に惚れたのだと思う。

イ・スリョン▶︎クム・セロウ

大学生で、民主化運動の闘士。「法学部のジャンヌ・ダルク」と呼ばれている。資本家で裕福な家庭の娘が、労働者側の民主化運動の先頭に立っている。

初めは、どうして裕福な家庭の娘が、民主化運動の為に家族にも嘘をついて活動続けるのか、偽善としか映らなかったが、労働者を搾取する現実に対して、国に対して怒りを持っていたのだと。でも家族はそのままにして欲しいとは….親に盾をつくところまでの決心はしていなかった。

現実は裕福な家庭で生活していて、法学部に在籍していて、民主化運動の流れを頭で感じて行動に移した女性でした。でも、家族を巻き込む事になっても、国の正義の為に意志を貫こうとした。親の庇護のもとでの民主化運動活動は先が見えています。最後は、家族も民主化運動を理解してくれたというやはり恵まれた世界の人間でした。
ミョンヒとは全く正反対の環境で育ったのに、二人は友達になった。そうならなかったら、ミョンヒはヒテとも出逢わなかったのに。

イ・スチャン▶︎イ・サンイ

スリョンの兄。フランスの大学を出て、父の会社で仕事をしている。結婚だけはビジネスにしたくはないと信念を持っている。優しく温厚な男性。ミョンヒに対して好意を持ち始めるが、ミョンヒは、友達の兄としてしか見ていなかった。

ここでもイ・サンイさんは素敵な紳士でした。なんか呑気な男っぽかったけれど、事件勃発後は、強い男になりました。

そしてこのシーン……ミョンヒの弟ミョンスが、市民にむけて銃を構える軍人の姿を見て呆然とする姿

ヒテの母親が違う弟、キム・ミョンスは、父親が市民を取締る暴力的な姿を見て呆然としてしまう。
軍人の中でヒテの友人のギョンスが、市民に銃を構えても躊躇してしまう姿が描かれていましたが、「国家暴力」側の軍人と一般市民との戦いになってしまった5・18事件の闇を見てしまったシーンでした。

本当の悪人は、軍人ではなく、その上にいる悪党なんです。

ギョンスの軍人として苦悩する姿も描かれていましたが、国家権力で、一般市民を発泡する、頭を殴るというシーンは非常にきつかった。

対照的に描かれた、民主化運動と二人の愛

ヒテとミョンヒのロマンスシーンはとっても素敵で可愛かった。ヒテの事を最初から好きだったミョンヒでしたが、運命は簡単に彼女にヒテへの門を開けてはくれなかった。でも、自らの気持ちに忠実になろうとした時に、門は開いた。ささやかなひと時の二人のラブなシーンは、悲しくもあった。



ヒテは、ミョンヒが大好きで、どうしようもない姿が、いじらしかった。


5・18事件に巻き込まれ、ヒテとミョンスの幸せな時間は長くは続かなかった。ヒテもミョンスの働く病院で、次から次へと運ばれてくる死傷者に、医師として対応した。


初めのシーン、白骨死体には、懐中時計と小さな紙切れが一緒に残っていた。
この懐中時計は、ミョンヒの父が、ヒテに渡し、そしてミョンヒに渡った物でした。

そう、白骨死体はミョンヒだったのです。

この最後のシチュエーションは、なんか理解に苦しみました。父親も犠牲になって、騒乱の中なのに、どうして……………..???? 女一人で暗い山の中、一人で行かせるのか???

どうしてミョンヒが……………

ミョンヒが最期に考えたことは、
弟の安否と、夏虫の声とヒテの歌。

残されたヒテは、何度も死のうとするが死ねなかった。

民主化運動には参加していない、光州から逃げ出そうとしていたミョンヒとヒテなのに。

あのむさ苦しい男は、軍人ギョンスでした。彼は、軍人としては加害者側になってしまうわけですが、なんとも理不尽な人生を歩んでしまった男。




そして小さな紙切れは、ミョンヒが、結婚式の時にかいた誓いの言葉でした。

41年後のヒテの手元に….

そして返事を書くヒテの後ろ姿で、このドラマは終わりました。

ヒテは、医師として生きていた。ミョンヒの最後の姿も、わからないまま過ごした41年間。時間は人の心を癒すとはいうけれど、消息不明のまま、41年間探しながら、待ち続けたのでしょう。
ミョンヒが、生きたいと思った分、しっかりヒテには生き抜いて欲しいと思った。
死ねなかったヒテ、きっとミョンヒが死なせなかったのだと思っている。
そしてずっと見守っていたのだと。

だから医師としてあんな穏やかな表情で今、生きているんだと思う。ヒテは生きているのではなく、生かされているような気がした。きっとその時間を大切に生きようと思ったのだと勝手に思いながら視聴していた。

印象的だったのは、ヒテが、若い研修医にかけた言葉、保安部の父を持ち、その父の行動が人を傷つけ、自分や家族をも傷つけていることへの罪悪感と自分が、医師としても人を救えず、自分の周りの人が壊れていく姿を見ているだけだという恐怖感を救ったミョンヒの言葉でした。

私たちは生死を決める人間達ではない。決定は神がして、我々は、神が線引きした中で、最善を尽くすだけです。あと、同種業界の人間として一言言わせて貰えば、ヒテさんは必ず良い医者になるでしょう。自身の心が壊れるほど責任感の強い人は滅多にいないんです。 

ミョンヒの言葉

私の分までしっかり生きて……と

あの穏やかなミョンヒの最期が、忘れられません。
あっという間に天国へ行ってしまったミョンヒ。でも彼女が懸命に生き抜いた記憶は、ヒテの心に残り続けます。




ヒテが、41年後にはチェ・ウォニョンさんが演じられましたが、なんか老けすぎ感がありすぎで……..

制作サイドは、今も5・18事件の闇が解明できたわけではない。このドラマを見て、傷つく方が出ないように、できるだけ静かに作品を終えることが目標であった….と言われたようですが、確かにそういう配慮は必要ですね。現実に起きる市民を巻き込んだ愚かな政治的な争いは、未だに世界で起きているのですから。

最後に切ない二人のラブシーンを………




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