(知ってることはあまりないけれど)家族です My unfamiliar Family 全16話(2020年 tvN)
2021年の百想芸術大賞の作品・演出・脚本賞3部門に全てノミネートされた作品でした。(結果は、「怪物」が作品・脚本賞を取り、演出賞が「悪の花」でした。)ノミネートされなかったらきっと見逃していました。
★番組のテーマは……………..(mnetより動画お借りしました)
「家族ってなんだろう?」 生きていくうえで切っても切れない存在である『家族』をテーマにしたドラマ!
熟年離婚ではなく、卒婚で、夫婦の役割をリセットしようとする母親の宣言から始まるドラマ!
家族は血の繋がった関係ではありますが、子供が成長していくと、共に過ごす時間が減ったり、子供が独立し、他人の様な関係になる。家族だからという安心感からその溝を埋めないまま時は過ぎていき、その関係は複雑で微妙になっていく。
自分が築き上げた『今の家族』とは、それはある人との結婚によって始まった。そのある人とは=夫。その夫とは、子育てが終わり、子供が独立したらもう夫との関係はストレスでしかない関係になってしまった。
子育てという役目を果たした妻の気持ちを考える気持ちのない夫
親の卒婚宣言で、兄弟間の葛藤や、子供の抱えている問題が浮かび上がってくる。
★セリフも納得させられる……………..
- 家族の問題って何か知ってる?話すべきことを話さないこと。ホコリのように払い落とせるものを歳月をかけて固くなるまで放置してしまう。そうするうちにある日突然爆発してしまうんだ。
- 家族は、他人が知り得ない急所をとても良く知っている。いつでも強力な一発を浴びせることができてしまう。
- ある本で読んだんだけど、人は自分があまり好きでもない人であるほど、より気を使ってエネルギーを浪費してしまうものなんだって
★ドラマ全体としての感想は…………….
小さな誤解が積み重なり関係修復が困難になった夫婦、成長とともに遠ざかっていく親と子、数年間お互いを敬遠 してきた姉妹……。そんな他人のようだった家族がお互いのことを知り、時には受け入れがたい真実に直面しながら も絆を取り戻していく。そんな家族の秘密や問題を、他人の様な家族と、家族の様な他人の誤解をリアルに時にはコメディタッチで描いたドラマ。長女の結婚、離婚問題、次女のラブラインと並行して描いたのも新鮮でした。熟年夫婦の問題をあからさまに描くのはではない構図が、よかったです。
「熟年離婚」は、DVや浮気など、許しがたい理由が必要!でも「卒婚」は、籍は抜かず、夫婦の交流は保ちながら、別々に暮らすという新しい夫婦のかたちとして現代では受け捉えられているようですが、どうなんだろう?
監督:クォン・ヨンイル 「検索ワードを入力してください:www」 「ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきた」
脚本:キム・ウンジョン 「隣のイケメン」「オ・マイ・ビーナス」「ウチに住む男」
あらすじ…………….
夫キム・サンシク(チョン・ジニョン)との関係もすっかり冷め、ただ家事をするだけの日々に嫌気が差していたイ・ジンスク(ウォン・ミギョン)。
彼女はある日、夫の同意のもと“卒婚”することを子供たちに宣言した。
母親の突然の宣言に困惑する長女ウンジュ(チュ・ジャヒョン)、次女ウニ(ハン・イェリ)、末息子ジウ(シン・ジェハ)。
そんな時、サンシクが山の中で倒れた状態で発見される。
幸い命に別状はなかったが、目を覚ましたサンシクは22歳以降の記憶を失っていた。
毎日、顔を合わせれば、相手の言葉にイライラしていた夫婦、その夫が22歳に戻ってしまい、あの頃の様に妻ジンスクを大事にしている姿に戻ってしまったのです。
夫サンスクは、14歳で天涯孤独になり、中卒で、運転手をしてガムシャラに働いてきた男。
妻ジンスクは、大学生で、恋人との間に出来た子供のことで家族から反対されて、家を飛び出していた。そんな彼女にお腹の子供を大事に一緒に育てましょうと結婚を申し込んだ父。
それから38年間、子育てを懸命にしてきた父と母でしたが、どこで?いつから両親に溝がでいてきてしまったのか…..
父が22歳に戻ってしまった事で、38年前からの楽しかった事、悲しかった事などが浮かび上がってきます。どうしてこうなってしまったかをお互いが向かい合いながらその誤解を解いていくことになってしまった。母ジンスクは隠したままにしておきたかったのに…..父サンスクが22歳に戻ってしまい、一時的な記憶障害になってしまい、過去を振り替えなければならなかった。
この出来事をきっかけに、両親が、それぞれ隠してきた想いや秘密が明らかになっていくのですが、並行して3人の子供の抱えている問題、子供としての親への思いも明らかにされていきます。
ではキャストの紹介と感想を…………………………………………..
冷静で、理知的で優秀な弁理士の資格を持つ長女ウンジュ▶︎チュ・ジャヒョン
彼女の辛辣な言葉の数々は、心に残りました。彼女が母親の「卒婚」宣言で、炙り出された過去を背負わされた家族です。実の父親は画家であり、大好きだった父親は他人だった。その実の父親に嫉妬していた父のせいで母は苦しんでいた。母が自分を連れて家を出て自殺しようとした理由の為に、彼女は母親をずっと許せない感情でいたのだ。本当は、彼女を連れて家を出て、お腹に宿っていた弟を始末するつもりだったのです。それほど父との関係がその頃から悪化していて生活も苦しかったのです。
夫が同性愛者で、義母もそれを知りながら、彼女を嫁として迎え入れたのでした。夫は、彼女が「家族には、うんざりした」という言葉で、この結婚を決めたのでした。彼も、家族にはうんざりしていたからです。過去に多分、体外受精をして授かった子供を流産させてしまい、それからは、彼女の心はもっと閉ざされてしまったのです。夫への不信感の先は、彼が同性愛者だったという事でした。
でもこの夫婦、これからは友達として付き合っていけるのでないかな。お互いの秘密や、苦しんだ過去は、この二人にしかわからない。個人的には長女は、はっきりとした言葉で批判するし、考え方が頑ななところもあるけれど、自分で判断して生きているし、判断したことに責任を持って生きているところがあっぱれだと思っています。
周囲に気を使って家族のまとめる平和主義者の次女ウニ▶︎ハン・イェリ
彼女は、家族間を取り持つ需要な役割を果たして生きてきた健気な女性だと思うけれど、自分の恋愛をいくら気楽な友達だと言っても、全て話すなんて….そんな話を聞いてくれる男は、彼女に興味があるからでしかない。それにジソクが男だから話しやすかったのだと思う。
でもいい子でしたね。あのゴンジュと一緒になって欲しかった。いくら複雑な家族間の問題を理解してくれているからって……..
新たに築き上げていくのが結婚というものだと思うし、そこからが始まりだと考えているから。理解できない同士が歩みよるのが、結婚生活だと思っている。だから長女夫婦の方が理解できるのです個人的には。このドラマ、親の夫婦の結婚観、長女夫婦の結婚観、次女の恋愛感、結婚観と時代の流れを非常に感じます。ウニの世代は、理解しあえる事が、重要なんだと。。。
「次の恋愛は、嘘をつかないって決めた」というウニの言葉、父と母、長女と義兄、弟の問題と全てのことを言ってます。そしてチャニョクへ。。。
甘えん坊で調子の良く生きているけれど、世間知らずな弟ジウ▶︎シン・ジェハ
こんな面倒臭い両親や、個性の強い姉達の中にいたら、家族から逃げたくなりますよ。
ウニの大学時代からの友達パク・チャニョク▶︎キム・ジソク
とにかく彼もいい人です。初めは、長女ウンジュを好きだったんですよね。そしてウニと家族の問題を冷静に客観的に見つめる人になってしまっていた。こんな人いるのかな? 身内ですよね彼は。
でも人が良くて、優しい男だけれど女には弱いという役柄が多い彼……「椿の花咲く頃」「また!?オ・ヘヨン〜僕が愛した未来」「個人の趣向」でもそうでした。でも今回はハッピーエンディングでした。
長女の夫で医師のユン・テヒョン▶︎キム・テフン
彼も罪作りな男でした。母親が普通の男として見せかけは生きてほしいことを理解してウンジュとの結婚を選びましたね。彼の家族は医者みたいだったしお金もあった様だし、その中で体裁を繕って生き残ろうとしてウンジュを利用した様な気がします。でもウンジュもあの家族から離れたかったし、あの贅沢な生活をして落ち着きたかったのかもしれません。お互いの利害が一致したから結婚したのに、やはり彼の同性愛者は許せなかったのかな。でも結婚生活の中で気がつかないのかな? 夫をただ夫としてしか見ていなかったのでは?
P&Fbook出版社副代表イム・ゴンジュ▶︎シン・ドンウク
ウニとはうまくいかずに可哀想でしたね。多分、今までもドラマで拝見していたのかもしれませんが、爽やかで素敵な俳優さんですね。ヒョンビンssiと同世代の俳優さんなんですね。
父親キム・サンシク▶︎チョン・ジニョン
父は、乱暴な口ぶりで、母や子供を従わせようとする亭主関白な男でした。いつからこんなふうになってしまったのか。事故で22際に戻ってしまってことで、その理由が見えてきました。この父、やはり単純なんですよね。ずっと働き続けてきて、家族を守るのは、お金を稼ぐことしかないと思い込んでいる様だったし、そうしてきたのだから、どこが悪いというという様に思っていましたからね。妻と家族の幸せに関しての価値観が違い過ぎていたのに、それを理解できなかった。
「その日のうちに解決できたのに……」
「今まで何をしてたんだ……..」父は、22歳の頃に戻り、再び記憶を取り戻しての後悔の言葉は、深く刺さります。
母親イ・ジンスク▶︎ウォン・ミギョン
いつから、眉間にシワを寄せて、夫を見るようになったのだろうか。夫の亭主関白や、粗雑さにヘキヘキしていた母。
熟年離婚をしたい妻が理由としてあげるのは、『夫が家事を手伝わない』『心のない言葉をいわれる』『感謝の言葉がない』といったもので、お互いを思いやる気持ちがなくなり、コミュニケーションをとることすら苦痛になるということですが、長年連れ添った夫婦なら、そんなこと当たり前だと思うのですが。一言で言えば、もう『顔お見るのも嫌!』という嫌悪感がましたら終わりが見えてきているのではないでしょうか。物理的な距離をおいて、夫婦という役割をリセットして相手への、思いやりが復活しなければ、終わりでしょう。
人生100年時代……………………………
子育てを終えたあと、夫婦だけで過ごす時間は、昔に比べてぐんと増えました。だから夫婦のあり方が変わるのも当然。でも「卒婚」を、冷えきった関係ではなくて、ポジティブな関係にするには、相手への思いやりや、感謝の気持ちが必要です。
ジンスクとサンシクが再び向き合う姿は、微笑ましかったけれど、こんなに数十年の確執をこんな簡単に忘れることができるかと疑問ですが。最低は5年以上かかる様な気がする。
「老いても夢があるって子供たちに理解できるかしら?」ジンスクの言葉。
確かにこれからは、子供が独立した後のそれぞれの人生も考えて行動しないと。
でも卒婚も熟年離婚も、考える時間が必要だし、まずは妻側が経済的に独立できるかが鍵を握ります。それに、「卒婚」はお互いの老いへの理解があったりお互いを切り捨てることが出来ない感じがするけれど、「熟年離婚」を選ぶ場合は、完全な妻側の経済的自立ができる条件や、とにかく別離してしまいたいという気持ちがあるのでしょうね。もう別の人生を歩みたいという強い意志がありますよね。
母親としての視点、妻としての視点、嫁いだ娘からの視点、独身の娘の視点からと多くの視点から描きながら、「家族」へのそれぞれの愛が、描かれていて、親近感があり、見応えのあるドラマでした。
エンディングのモノクロ画像が、なんかとても素敵でしたので、モノクロ画像でまとめてみました。