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悪の花  見応えのあるすごい作品です!

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悪の花  Flower of Evil 全16話(2020年 tvN)

日本ではMnetで有料配信されたドラマ….こういうドラマがNetflixで配信されていたら、きっと鳥肌ものだったと思う。サスペンスのジャンルですが、サイコスリラーに分類されると思いますし、サスペンスの外観を使ったメロドラマのせいか、奥深く堪能できるドラマでした。

個人的に、サイコスリラーな部分は、難解過ぎないストーリー展開だったので、メローな部分でのサスペンス的要素が、非常に際立ち、最後まで引き込まれた作品でした。主演のお二人の演技力、演技の迫力に圧倒されました。最終話が、丁寧に描かれていて、このドラマの終着点が、穏やかであったのが、すごく良かった。『ここにきて抱きしめて』と同じ様に父親がサイコパスで、その親に育てられた息子、その息子の生き様を描いたという点、天使のように現れたヒロインへの感情を理解できないずに苦しむ姿、ヒロインは一途に愛しますが、その愛さえも信じられないという男だったという点など、似ていた設定が多々ありましたが。こちらのドラマは、メローな部分でもスリラーな部分でも甘くなくビターなドラマに仕上がっていたと思います。スリラーと愛の調和を作り出した秀逸な作品だったと感じました。

初めには温かい雰囲気なメローで始めるが、ト・ヒョンスの正体が明らかになり、殺伐なスリラーな部分も加わり、すべての正体が明らになりながらも、変わらないチャ・ジウォンの愛の強さに圧倒されました。前半のメローさは愛が何かも分からないまま生きる男の姿を表し、後半のメローは何が本当の偉大な愛かを知るようになった男の重量感のある密度さのある愛を描き出していました。

サイコパスな反人格的障害を持った人間のドラマってこのところ韓ドラには多い。でも見るからにそういう人間でなくても、感情を理解できない、理解しようとしない人間を全てサイコパスにしてしまうのは…このドラマもそう思いましたが……

脚本、演出、演技が結びつき、緊張感のあるメローさと、殺伐としたスリラーを、この作品の中で調和を保ちながらはっきりと見せつけられました。チャ・ジウォンの感情は、ペク・ヒソンで彼を眺める時、切ないメローになるが、ト・ヒョンスで眺める時殺伐なスリラーとなるのです。

主演のイ・ジュンギssiが、ト・ヒョンスという複雑な人物を、繊細に表現し、連続殺人犯の息子であり、感情を全く感じることができない反社会的人格障害になってしまった男が、たびたび感情変化を表現する方法を教えるユーチューブを見て、人間の表情を真似る姿に、ゾクゾクさせられました。オーバーでもなく、リアルな感じで見る人の心を揺さぶる演技で、回を重ねていくうちに、ヒソンの性格や過去が明らかになるのですが、その苦悩する姿や、ジウォンや家族を守ろうとする姿に胸が痛くなりました。

ト・ヒョンスは自身の本来の身分を隠すために絶えず社会の中で適応しようとする努力する姿は、彼が少しずつ感情を感じる人に変わって行く姿でもありました。

ムン・チェウォンさん演ずるチャ・ジウォンの感情は、今どこかで誰か感じているようで、あんな愛が存在したら……..と気持ちが熱くなるような リアリティーさを感じさせてくれました。ペク・ヒソン(ト・ヒョンス)とジウォンの感情がさらに深くなっていくのは、お互いを守って家族を守ろうとする苦闘であって、幸せに向かっての切なる願いなんですよね。ト・ヒョンスはあらゆる逆境の中で、チャ・ジウォンの愛を信頼にして自分の濡れ衣を晴らして再び、幸せな空間を手に入れたのです。悪意で覆われた所でも、ト・ヒョンスが渇望した善意の花は美しく咲いたのです。

ジウォンはふと自身の夫がその長い歳月の間、頼ってくれた人物が自分だけであったという事実….それに気がつく聡明で温かい心の女性だったから、彼は救われたのです。

毎回、エピローグではなく、プロローグで始まるこのドラマ、そのプロローグには、過去の二人のエピソードが少しずつ明かされていき、物語が理解しやすくなっていました。

演出:キム・チョルギュ 「ファン・ジニ」「パラダイス牧場」 「空港へ行く道」「シカゴ・タイプライター」「自白」「Mother」

キムPDは演出ポイントに対して「このドラマには数多くの「対比contrast」のコードが隠れている。 善と悪の対比、偽りと真実の対比、愛と憎しみの対比、そして(少し違う次元の話だが)メローとスリラーの対比。このように互いに相反する要素が激烈に衝突して派生する緊張感がこの話を導いていく力だと考える」と明らかにした。”感情職人”と言われる演出家だからこそのこのスリラーとメローの融合が実現したのでしょうか。

脚本家ユ・ジョンヒ 「裸の消防士」

『悪の花』というタイトルの込められた脚本家ユ・ジョンヒさんのインタビューの言葉

タイトルには「悪意に満ちたところにも、花は咲く」というメッセージを込めた。もし死ぬ瞬間まで嘘がバレないように、最善を尽くして生きるとしたら、その人生は偽りだと言えるだろうか」

キャストの紹介とあらすじと感想………………………..

イ・ジュンギ演じるペク・ヒソンは、金属工芸家。本当の名前はト・ヒョンスですが、ペク・ヒソンとして身分洗浄して自分自身の残酷な過去を隠し、以降14年間生きてきた男。自分の人生を探そうと新しい家庭を築き、愛する妻さえ騙し、愛さえ演じるような生き方をしている男なのですが、ジウォンと娘のためにする行動や言葉には嘘がなく、それは愛から生まれた行動なのですが、それを理解できない男でもありました。

ヒソンが思う自分自身、ジウォンが感じるヒソン、他人が感じるヒソン、ヒソン自身もわからない本来のヒソン….とヒソンの姿は”サイコパス”と思える二面性だけではないという複雑な人物です。

ムン・チェウォン演じる、ヒソンの妻チャ・ジウォンは、ヒソンの過去を知らない。二人の間には可愛い娘がおり、三人は幸せに暮らしている。
敏腕刑事でもあるジウォンは、ある事件を追求する過程で、夫の正体に疑問を抱き始める。

「14年愛してきた夫が、血も涙もない連続殺人犯の疑いがあったら?」

「真犯人と真相を捜し出すことによって、愛を守ることができるだろうか。」

「愛とは何か?」「信じるとは何か?」

正体を隠そうとするペク・ヒソンとその正体を分かってしまったチャ・ジウォンは、離婚まで決心したが、自分の苦しみの中で、彼への愛を確信してしまう。彼は偽りの生活を送ったし、ジウォンはそれを許すのが難しい。徐々にそのような選択をすることになった彼の生き様を知るにつれて、彼女は刑事としても妻としても戸惑います。
連続殺人犯というレッテルを貼られた父の息子という理由で、平凡な生活を送ることができなかったし、さらに共犯だと疑い受けて村の人々から排斥受け、その上、姉が犯した殺人までかぶったまま逃亡者で生きていかなくてはいけない男だったということを。

ジウォンは、事件を調べながら彼が殺人を犯さなかったが、全てを受け入れて自分で消化しようとした男が夫であり、身分を隠したまま完全に他の人で生きることを望んだその理由を少しずつ理解していった。
ヒョンスは、殺人を犯さなかったし、誰かのために罪をかぶったと話した彼の姉ト・ヘスの話と、声を変調したまま警察に電話をかけて男がト・ヒョンスで、ヨンジュ市殺人事件の共犯を探して真実を明らかにするという彼の言葉を彼女は信じたのです。

彼は罪がなくて、それで本当の共犯を捉えて、自身の家族にまで近づいた危機を自ら処理するということを。


ナム・ギエ▶︎コン・ミジャーヒソンの母
ソン・ジュンハク▶︎ パク・マヌーヒソンの父

息子ペク・ヒソンの本当の姿を知りつつ、それを隠して自分たちが都合の良い様にト・ヒョンスを操ろうとしたモンスターな両親

チョ・ビョンモ▶︎ト・ミンソク役ーヒョンスの父親

ペク・ヒソンの両親、ヒョンスの父親は、どちらも毒親です。自己主体型で、自分達が一番という思考回路だったということです。

チョン・ソヨン▶︎ペク・ウナ役ーヒソンとジウォンの娘

可愛かったですね。本当にこういう子役さんの演技が、ドラマの中でその役者さんの人間的な部分をチラッと見させられるところがなんかすごい。イ・ジュンンギssiとは、親子みたいだった。

チャン・ヒジン▶︎ト・ヘス役ート・ヒョンスの姉

弟を庇いながらも起こしてしまった殺人、弟が身代わりになって生きている事で、身を潜めて生きている。でも弟が心配でならない。なんか懸命に生きているけれど幸せには手が届かない幸薄い女性っていう感じが伝わってきました。「空港へ行く道」では、身勝手な妻役でしたね。この時も幸薄い役柄だった….

ソ・ヒョヌ▶︎キム・ムジン役ー週刊誌の記者・ト・ヒョンスの同級生

ヒョンスとのブロマンスというか、お互いの利益になる様に助け合うコンビが良かったですね。でも中学時代とはだいぶ違っていたけれど、スクープ記者として苦労したのかな。ヒョンスの姉への恋心はついに叶わなかったですけれど。

チェ・ヨンジュン▶︎チェ・ジェソブージウォンの先輩刑事

冷静、沈着でしっかりと事件の根幹を見つめている刑事。ジウォンの良き理解者であり、頼もしい刑事さんでした。なかなか味わいのある役者さんですね。


キム・ジフン▶︎本当のペク・ヒソン

このドラマが、最後まで失速なく終盤までテンポ良く視聴者に受け入れたのは、この彼がいたからで、ト・ヒョンス、ジウォンの悲劇は、彼の事故から始まったのです。

強烈なインパクトだった彼とは、本当のペク・ヒソンを演じたキム・ジフンだった。キム・ジフンが演技するペク・ヒソンは、14年前連続殺人事件を起こした実際の犯人であり、ト・ヒョンスが代わりに生活を送ってきた人物です。15話でのヒョンスとヒソンの格闘シーンは壮絶でした。ヒョンスの父親は、ヒソンに殺人を犯せていたのです。サイコパス同士の共犯が存在していたのです。とにかく恐ろしい世界で、その事をヒソンの両親は感づいていたのです。

そのヒソンを、ヒョンスを苦しめて彼らをやっと追い詰めたヒョンスでしたが…….

でも、ヒョンスの父親が犯した罪、7人を殺したのはヒソンなの? ヒョンスの父親は人身売買の斡旋をしていただけなのか?ははっきりわかりませんでした。あんなにヒョンスを亡霊の様に苦しめた父親は、いったいなんなのか…….サイコパスな父親、家族を持ちその遺伝子が受け継がされている子供は、親からも、世間からもそういうレッテルを貼られて心も身体も、マインドコントロールされてしまうのでしょうか。

「星をとって」「結婚の女神」「 私はチャン・ポリ」「となりのイケメン」の作品でのイメージは、とにかく優しい夫、優しい青年でした。(この4作品視聴したので)それが、なんとこのサイコパスな男に変身です。長髪で、だいぶ痩せられたお姿は、もう以前の優しいお兄さんのイメージとはかけ離れてしまっていて、別人かと思ったほどでした。ドラマでのイメージってやはり印象に残っていて、本当にまさか〜でした‼︎   40歳になられた様ですが、役者としての挑戦だったのでしょうね。ビジュアル的にも忘れられない存在感を与えましたね。

でもでも、こんなに痩せて長髪したらこんなに変身するなんて、怖いです。あんないいお兄さんが……..彼がいてスリラーが完璧になったし、彼と敵対するメローな感情も引き立ったと感じますが、なんとなく複雑です。


11話で、自らの気持ち何も感じることのできないト·ヒョンスの感情が初めて解き放たれる場面は、非常に印象に残りました。劇的な状況に追い込まれた時に、自分が一番大切に思っているものを失いたくないという切実さから出る感情の解放されるシーンですね。ヒョンスがジウォンの前で嗚咽するシーン、ジウォンが再びヒョンスに対して、自分が愛する夫への信頼を築けるようになるシーンですね。

ヒョンスは、ジウォンが自身の正体を知っているという事実を知って、戸惑って嗚咽し始める。 それを分かりながらも自身を守って保護するためにジウォンがしてきたその行動を、彼は信じることができない。 それでジウォンに話す。

「いったいなぜ全て知って、全て知っているのになぜ僕を捨てない? 僕は理解ができなくて。」彼は愛を分からない。 愛することができないことではなく、愛を受けてみたことがなくて。そのような彼にチャ・ジウォンはこう伝える。

「本当に分からない? 正体全て知って、あなたを守ると私がなぜそうしたのか、本当に分からない?」その時初めてヒョンスは、ぼんやり悟る。 それがまさに愛ということを。それで「申し訳ない」として嗚咽し始める。

ジウォンの愛で、彼の心の中に、とうてい咲くことができなそうだった花が咲く…..のです。

妻や娘にしてきた言葉と行動が、ジウォンや、ウナに対する愛であったということをヒョンスは初めて知ったのです。

最終話でも、ジウォンは、15年間の記憶をなくしたヒョンスを自由にした。ヒョンスが15年前に戻ったこの状況で、ジウォンとの15年が彼をどれくらい大きく変化させたのかをジッと見守っていくつもりだったジウォン。 自らを感情のない怪物と感じたヒョンスを、家族を愛する人物に変えたのは、ジウォンと彼の娘ウナの温かい愛だった。それにやっと気がつくヒョンス…….

ドラマは悪がどのように誕生して続くのかという事をスリラーで描きながら解明し、その中で、どのように悪を押し倒して愛という花が咲くかをメローで表わしていったのです。この絶妙の構図が、この作品がどちらか一方で偏らないで、最後まで緊張感を維持し、視聴者にも理解されたと思う。

久しぶりに見る完成度高いドラマだったと。評判通りで、視聴して良かった。

スリラーを見て愛の偉大さを新たに考えてみることになるドラマだなんて……

考えてもいなかった。

刑事として真摯に生きながらも、夫の予期もしない過去に戸惑いながらも、振り回されることもなく、夫に正面から対峙するジウォン。彼女が信ずる愛をまっとうするために、闘う姿に、その愛を感じられない夫ヒソンも、しだいにその感情を理解する様になる過程が、丁寧に繊細に描かれていて素晴らしかった。背景にスリラーシーンがあった様に感じてしまうほどでした。

演技者の力量も凄かったですが、このキム・チョルギュPDのドラマ、「空港へ行く道」もいまだに忘れられないドラマです。次のドラマが楽しみです。


最後に………メローな大人のラブシーンは素敵でした。こういうシーンがさりげなくスリラーシーンを犯すことなく、散りばめられていたのも、個人的にはとても感謝しています。「愛とは何か……..」

夫婦になってから…………….💓💓💓


 

 

*忘れられない様に……….記録です。

サスペンス▶︎心理や推理を描いたもの
スリラー▶︎緊張感と不安を描いたもの
ミステリー▶︎不思議感と謎を描いたもの
サイコ的な▶︎サイコパス的な人間が登場し、犯人視点に立って描かれている。

 

 

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