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誰も知らない ”良い大人に出会ったら私の人生は変わったか”

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誰も知らない Nobody Knows  全16話 (2020年 SBS)

昨年、途中放棄していたドラマでした。どうして視聴意欲が失われたか。子供を大人が、それも地位も名誉もあるような大人の仮面を被った人間どもが、子供を自分達の欲望のために利用するのが描かれていたからです。チャン・ギヨンssiの『KILL IT』もそうでしたが、大人の身勝手さと、親のいない子供達が生き抜くためにそのような大人にしがみつくしかないという理不尽さに胸が痛むからでした。

でもなんか気になって、このドラマは何を伝えたいのかと調べたら………………………..

“良い大人に出会ったら私の人生は変わったか”

良い大人に出会えなかった子供達は、ソシオパスのような人間になり、良い大人に出会った子供は、人間の感情を持つ”良い大人”になっていくのか….. というメッセージを込めたドラマとして企画されたようです。惨たらしい姿で横たわる死体や、残忍なシーンもたくさんありましたが、それはこのメッセージを反映させる伏線だった。『KILL IT』は、その惨たらしさを暴力で破滅させた悲しい終わり方でしたが、このドラマは違いました。若者や子供に潜む狂気と幼さを見せつけられ、どんな大人が関わり合うかでその子供の成長が変化してしまうのだというドラマでもありました。

植物の世界の寄生と腐生を人間界の寄生と腐生と揶揄したようなドラマでした。

脚本:キム・ウニャン
演出:イ・ジョンフム

あらすじとキャストと感想…………………………………
 

連続殺人事件の被害者となった友人の真犯人を探すため刑事となったチャン・ヨンジン(キム・スヒョン)

被害者が生きている間にキリストの”はりつけ”のように両手に穴を開け殺害する聖痕連続殺人が世間を震撼させている時、ヨンジンの親友スジョンが8番目の被害者となってしまう。事件直前にスジョンから電話がかかってきたが出られず、直後にスジョンは殺害された。その後犯人はヨンジンに電話し、「スジョンは最後の犠牲者で、自分を見つけても罰せない」と嘲笑う。そして犯人は言葉通り、それ以上被害者を出さず、捜査本部も解散することに。

19年後、刑事となったヨンジンはソウル地方警察庁広域捜査隊のチーム長となり、聖痕連続殺人事件の再捜査を開始する。スジョンの妹から新たな手掛かりを得たことで、事件に関係があると見られる牧師サンウォン(カン・シニル)の部屋を訪ねる。するとそこには19年前を彷彿とさせる死体があった。そしてヨンジンの目の前でサンウォンは自殺してしまう。犯人が死亡したことで事件は終わったかのように見えましたが。

犯人を追い続ける孤独な刑事ヨンジンが、心を許せたのは下の階に住む中学生コ・ウノ(アン・ジホ)でした。ある秘密を抱えているウノだったが、事件の捜査に忙しいヨンジンはウノの変化を見逃してしまう。翌日、ウノがホテルの屋上から転落する事件が発生。一命をとりとめるが、ヨンジンは意識の戻らないウノのため真相を解明するために懸命に捜査する。

ウノたちの行動を見て見ぬふりをして避けていた教師のソヌ(リュ・ドックァン)もヨンジンと共にウノの足取りを調べていくと、そこにはまた死体が……イ・ソヌ教師は、教師になって初めて赴任した学校で起きた事故が原因で、消極的な教師になっていましたが、担任となったクラスの生徒のウノが転落事故に遭遇したことで、刑事ヨンジンに協力していこうとします。

ウノは、どうして屋上から飛び落りたのか。接点などないと思われたウノの事件と過去の聖痕連続殺人が繋がっており、ソヌも幼い頃にサンウォンに出会っていたという記憶が蘇る。

ペク・サンホというパク・フンssiが演ずる男が登場します。もうこいつが“悪の権化”だと言わんばかりの存在感でした。『アルハンブラ宮殿の思い出』でも強烈なイメージを醸し出していましたが、今回はもっと凄まじかった。彼の仲間たちは、彼にしがみついて生きようとする腐生人間達。

母親に虐待され、閉じ込められて育った名前もない男の子。牧師サンウォンに拾われペク・サンホという名前を貰う。それからは教会で父となったサンウォンから、厳しい選択を強いられながら成長する。

 

人間は平等でない。殴られるか殴る人間という選択….サンホは殴る人間、野生動物のように強い物が生き残る生き方を選んだ。この教会はまるでブラック企業のような存在で、人間をコントロールしていっている。現実でもあるのでしょう。

 

シングルマザーの母と二人暮らしの少年ウノは、同じマンションの住民。母の愛情を十分に受けられない環境で育つウノ、母は精神的に不安定で、男と酒に溺れていた。そんな母の元でもヨンジンに助けられて善良に育っているウノ。

現代を生きる子供たちは、親や出逢う大人たちによって大きく人生を左右されてしまう。成長する場所や、周りにいる大人なんて子供達が選択できるわけではないから。

チャン・ギホ(クォン・ヘヒョ)を助けた事で命を狙われるようになってしまったウノでしたが、「おじさんを助けたのは神の恵みだとは思わないでください。」僕の気持ちなのです…と ウノはギホから預かってと言われたあの教会の本のためにサンホから狙われたのですから。

そしてヨンジン叔母さんが側にいてくれたから心強かった。ギホは、「そういう大人になるべきだった。それに気がつくのが遅過ぎた。とウノに言ったのですが、ウノは「良い大人になりたいと思えばそうなるようこれから行動すればいいことだ」と…..

このドラマでは、そんな危うい子供達に手を差し伸べ、温かく見守る大人達がいました。しっかり受け止めているウノは素晴らしい若者になっていましたね。

ヨンジン刑事には、常に寛容な気持ちで見守っていたファン・インボム刑事や、彼女の非常な捜査にも我慢してついてくる仲間の捜査員もいました。また温かい手を差し伸べるスジョンの母親いました。そんなヨンジン刑事は、ウノにも、ソヌ教師にも、ギホにも手を差し伸べた。

良い環境で育っていると言えないウノが真っすぐな子供に育つことができたのは、温かく見守るヨンジンやソヌのような大人がいたからでした。

ヨンジンもソヌも、ここに登場する大人は、誰も優れている人間ではない。ただ、お互いが支え合って生きていこうと気持ちを大事にしている大人達なだけです。ドラマが進むにつれ、犯人を逮捕する、事件を解決するだけのドラマではなく、もしも彼らの周りに正しい道に導く大人の存在していたら、止まることのない悪の欲望に落とされたサンホ達のようにならないですんだのでしょうか。

  • どうしてスジョンは殺されたのか?
  • 牧師サンウォンはなぜ7人も殺したのか?
  • 父サンウォンをサンホは、生き残るために殺したのか?

全て、人間の欲望のため、神を美化して生き抜く人間達でした。その生贄になってしまった人たち。

サンホが強烈過ぎて、こんなソシオパスのような人間に、どうのこうの言っても無理なのでは?という気がしてしまう。やはり子供の時代の環境や教育が、その人の人格形成に深く影響するというメッセージを感じましたし、いまだにこういう子供虐待のドラマが創られるという事に驚いてしまう。日本だったら、親の子供虐待はあるでしょうが、こういう虐待が20年前にあったのかと……韓国の宗教集団は、問題を抱えているのかな?

「私のおじさん」のジアン「椿の花咲く頃」のドンベクもこのドラマもある意味、親の愛に恵まれず、惨めな環境で成長していった暗く行き場のない若者の叫び、苦しみを描いている。人の心に訴えてくるメッセージは、やはりすごく重い。出会った人間達の温かさによって初めて幸せを感じて生きていくドラマでした。このドラマもサスペンス・スリラー仕立てというところに違いがあるだけと感じましたが。

ヨンジン刑事は、過去の辛い思い出も克服して、心の広い素晴らしい刑事になっていましたね。きっとインボム刑事や、周りの人の温かさで彼女も成長していったのでしょう。

秀作なドラマだとは思いますが、子供をこういう虐待してしまう背景をドラマにしてしまうのを見るのは、やはり辛い。

“良い大人に出会ったら私の人生は変わったか”

もしあの時、ヨンジンが手を差し出していたら、ペク・サンホの人生は変わったのか………

 

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